米国国際開発庁の女性支援活動 零細事業の援助で成果 メコンデルタ地方のビンロン省

ベトナム南部、メコンデルタ地方のビンロン省で3年前に始まった女性の起業支援活動「メコン・バイタリティ拡大同盟(MVE)」が、一定の成果を上げたとして、活動を完了させた。米国国際開発庁(USAID)が、民間企業と共同展開した事業では、多くの女性たちに少額ローンや教育を提供し、ビジネスチャンスを創出してきた。

MVEは、開発庁と米国のコカ・コーラ社、エクスペリアン社の三者が主体となって展開。銀行などからの融資を受けられない女性による零細規模の起業支援がねらいで、これまでに、ビンロン省の約8000人の女性が支援の対象となってきた。

ホー・チー・タイン・ミーさん=写真㊨=も、MVEプロジェクトのビジネス講習に参加した一人だ。講習会をきっかけに、ミーさんは青空市場でおこわの販売を始め、順調に売り上げを伸ばしている。

2014年に始まった活動によって、MVEは330以上の小規模基金団体を設立。ミーさんのような女性たちが新規で事業を立ち上げたり、すでに運営している小規模ビジネスを収入アップのために拡大したりする際にローンを提供してきた。同時に、ビジネススキルのトレーニングも提供し、取引先への橋渡しや市場開拓支援なども行ってきた。

活動によって、ビンロン省では、女性たちが健全なビジネスのありかたを身につけ、市場原理について学び、取り引きのチャンスを得ることができたという。女性たちは情報にアクセスし、得た情報をビジネスチャンスの獲得にフィードバックできるようになった。参加者らがお互いに経験を共有したり、資金を融通しあったりするなど、支え合う機会も設けている。

対象者のうち、400人の女性に対しては、ビンロン省に居ながらにして、零細企業の発展や経営者としてのスキルアップなどの講習を受講する機会が提供された。この結果、245もの小規模事業の設立または既存の事業の拡大につながった。同盟に参加した女性の3人に一人は、新たな原材料の調達先や、自社の拡大につながる商品の卸先など、参加者の中から仕事上の新たなパートナーを獲得しているという。

アメリカ合衆国国際開発庁のベトナム支部長であるマイケル・グリーン氏は、「同盟は、目覚ましい成果を上げてきた。女性の活躍を支援したいというベトナムの目標達成に貢献できたことをうれしく思う」と感想を述べた。