文化・スポーツ・観光省の文化遺産局によると、今月7日、韓国の済州島で開かれていたユネスコ無形文化遺産保護協約政府間委員会の第12回会合で、ベトナム中部の民俗芸能「バイチョイ(Bài Chòi)」が、ユネスコの無形文化遺産に承認された。

バイチョイは、音楽や詩歌、演劇、絵画、文学などの多様な芸術的要素が融合したベトナムの民俗芸能。中部のクアンビン省、クアンチ省、トゥアティエンフエ省、クアンナム省、クアンガイ省、ビンディン省、フーイエン省、カインホア省、ダナン市で古くから盛んだった。

旧正月(テト)の時期などに、ベトナム中部各地の農村や家庭で、身近な芸能遊びとして行われていた。民謡を歌いながら、カードを使ったゲームを行ったりするもので、踊りや音楽、物語の口頭伝承などさまざまな文化的要素が含まれているのが特徴だ。


写真㊤=歌や踊り、ゲームなど多様な要素が盛り込まれた伝統芸能、バイチョイ

一時は伝承が途絶えそうになったが、現在はバイチョイを行うチームが約90団体に増え、関心を持つ個人や学校単位などでもバイチョイの知識や技術が伝承されるようになっている。

政府間委員会によると、今回の登録では、バイチョイがベトナムの農村コミュニティにおける伝統的娯楽であり、同時に芸術を楽しむ手段でもある重要な文化活動だという点が評価された。バイチョイで語られる物語は、道徳心や愛国心をはぐくむもので、人々の生活の知恵や男女の平等、人々がお互いを尊重する精神などを教える意味合いもあった。

バイチョイが無形文化財に登録されたことにより、今後、さらに農村などコミュニティ間の対話や交流が生まれ、結びつきを強めたり、文化意識を高めたりすることにも貢献できるとされた。

登録の申請では、ベトナム政府の応援を受け、各地のコミュニティやバイチョイの伝承団体などが、この伝統芸能を遺産として保護してきたこれまでの努力を紹介。今後も国と文化・スポーツ・観光省、各地方の行政当局などが、バイチョイを無形文化遺産として保護するための財源と人材を確保していくという。

バイチョイは、2014年にベトナムの文化・スポーツ・観光省によって、ベトナムの国家無形文化遺産とされた。今回のユネスコ無形文化遺産の承認は、ベトナム文化の豊かさと多様な文化を示すできごととなった。