ベトナムの社会保障制度運営に海外の助言を ハノイで有識者らが初会合

ベトナム社会保障(VSS)庁はこのほど、構築途中であるベトナムの社会保障制度の発展や目標、海外支援団体との協力のあり方などについて話し合う意見交換会をハノイ市内で開催した。この種の会合は初めてで、世界銀行(WB)や日本の国際協力機構(JICA)などの専門家ら数十人が参加し、議論が行われた。

会合では、ベトナム社会保険庁のグエン・ティ・ミン長官が、ベトナムが目指す効果的な社会保障や健康保健施策のロードマップを示し、ベトナムの社会保障制度の現状について説明した。

ベトナムの社会保障の最大の課題は低い保険加入率で、全労働人口のうち労働保険加入を約50%に、失業保険加入は35%にすることを目指す。一方で、健康保健については、全人口の90%の加入が目標とされている。また、現在は、監督省庁が労働・傷病兵・社会問題省(MOLISA)や保健省など複数にまたがることから、複雑な管轄の簡略化や社会の近代化、工業化、国際的な経済統合に適合した、近代的システムの構築を目指している。

社会保障制度への加盟は、1995年には220万人であったものが、制度発足から22年の2017年には約8000万人に拡大した。しかし、ミン長官は、非正規雇用者の加盟率の低さなど、ベトナムの社会保障分野の抱える課題や短所を挙げ、「これらの問題が、社会保障分野で目指す目標達成の妨げとなっている。課題克服のためには、海外の協力者からの支援や助言が不可欠だ」と訴えた。

会合では、VSSは2018年から2020年にかけての2年間で、さまざまな社会保障施策を導入し、実施するために、海外からの開発援助資金の活用を提案した。
これに対して、出席した世銀や国際労働基金(ILO)、日本の国際協力機構(JICA)、アメリカ合衆国国際開発庁(USAID)も、ベトナムの社会保障制度の充実や発展に向けた提案を行った。日本のJICAからは、昨年10月からVSSと協力関係を構築しており、「ベトナム社会保障制度の支援について可能性を検討している」との説明があった。

また、国際社会に向けた情報発信機能を強化するため、VSSはこの日、英語版のポータルサイトの開設も発表した。