テト(旧正月)休暇で公的機関などが14日から休暇に入るのを前に、各地の銀行ATMでは、現金を口座から引き出そうと市民らが行列する場面各地で見られた。テト期間中は正月用の買い出しのための現金を引き出す人が増えるためで、混雑緩和のため、銀行はカード払いなど現金に代わる決済を推奨しているが、効果はまだ薄いようだ。

ハノイ市ホアラックハイウェイ付近のATMでは、テトの直前の買い出しなどに必要な現金を引き出す市民らが、ATMの前に長い行列を作った=写真㊤。
金融大手、ベトコムバンク現金処理センターのホアン・アイン・トゥアン局長はメディアを通じ、クレジットカードなどの利用や、インターネットバンキング、モバイルバンキングを使った電子商取引と送金を奨励し、ATMからの現金の引き出しを最小限にするよう市民らに呼びかけた。
現金以外の決済を利用してもらうため、テト直前とテト休暇中、商品やサービスを提供する小売店やサービス業に加え各銀行も、カード利用の顧客向けの特典や値引きを用意した。「うまく活用すれば、利用者も出費を減らし、得をすることができる」とトゥアン局長は言う。
一方で、どうしても現金が必要で、ATMから引き出す必要がある場合には、ATMの機械が複数置かれている場所や、銀行の支店に併設されたATMの利用を推奨。「そのような場所に設置されたATMは、現金供給の頻度が高いので現金切れになることが少ない」とアドバイスした。
現金やクレジットカードに代わる支払い方法として、マリタイムバンク(ベトナム航海銀行)はさきごろ、クイックレスポンス(QR)コードを使い、スマホのモバイルバンキングなどを経由して支払う新システムを導入。同行のヒュイン・ブー・クアン頭取は、QRコードを使った支払いについて、「顧客が行列を作って待つ時間が削減されるほか、財布や銀行カードを忘れても、さまざまな支払いや買い物ができるメリットがある」と指摘する。しかし、利用者は少なく、浸透までにはまだ日数がかかりそうだ。
ベトナム国家銀行による最新のデータによれば、ベトナム国内での各種銀行カードなどの発行数は約1億2700万枚。また、約1万7300カ所以上のATMが全国に設置され、POS(販売時点情報管理)システムの利用端末は約26万機にのぼるという。ATMの増設やPOSの導入などによる支払い方法の分散化の努力にもかかわらず、テト前のこの時期は相変わらずATMが過度に利用されており、システムが阻害される事態が各地で度々発生している。