科学技術が握るベトナム発展のカギ

ベトナムの科学技術市場は、技術革新が急がれていることから、今後活発になっていくと予測されている。

■「有望な成果を達成」
科学技術省のチャン・ヴァン・トゥン副大臣は、同省傘下の技術開発事業化促進庁が主催する、科学技術市場の発展を考える会議で、参加者に向けて「科学技術市場は、有望な成果を達成した。法的枠組みが改善される一方、技術への需給は増加している。さらに、ハイテクパークやソフトウエアパーク、ハイテク農業ゾーン、技術インキュベーターといった仲介機関のネットワークも形成されてきた」と述べた。

ベトナムには、ハノイ、ホーチミン、ダナンとドンナイ省に4つのハイテクパークがある。また、63の省と市に、ソフトウエアパークが8つ、ハイテク農業ゾーンが13、技術インキュベーターは9つあり、加えて15の技術取引センター、63の技術応用開発センターがある。さらに、国内には、研究機関や大学に関連する20以上のインキュベーター、7つのビジネスアクセラレーターもあり、ハノイ、ホーチミン、ダナン、カントーといった大都市には20のジョイントワーキングエリアがある。

科学技術市場の発展を加速するために、同省は、12の省と市で、563の企業の技術ニーズについて調査を行い、2017年には、技術支援や投資協力を必要とする112の項目について確認した。

同省はまた、約80の国内外の先進技術を2000以上の企業に紹介するために、10のセミナーやフォーラムを開催。特に、The TechDemo 2017では、2000人以上の参加者や12の技術移転契約を獲得し、総額2000億ベトナムドンを超えるMOUや協力協定が締結された。

■困難を乗り越えて
先の会議で、参加者は、技術取引センターの必要性に賛成の声を上げた。トゥン副大臣は、「第4次産業革命では、技術取引センターのモデル、運用方式、組織構造をどうするかが極めて重要だ」と述べた。また、同庁のファム・ドゥック・ギエム副長官は、「科学技術市場の発展は、依然として困難な状況にある。ベトナムは国有の技術取引センターを持っておらず、科学技術に関する活動は、期待したほど効果を上げていない」と指摘した。

中国の専門家であるコ・ヴァン・チュオン氏は、「中国の技術取引センターは2013年に、国際取引市場を構築し、新しい技術移転を獲得するために設立され、運営を開始した」と述べた。中国には、国有の技術取引センターのほかに、29の地方の取引センターがある。それらは、さまざまな手法で運営をしながら事業を行っており、各取引センターが、現地市場の需要に沿った形で展開されている。

同庁のヴイ・ヴァン・クエン氏は、「技術取引センターを開発するために、国は具体的かつ未来志向の政策を実行し、専門的でダイナミックなチームの育成や、地域で幅広いサービスネットワークの構築を進めつつ、国内外の慣行に後れを取らないよう運営モデルを刷新しながら、商品化できる技術を検討、選択していく必要がある。加えて、技術の需給関係を促進していくことも重要だ」と述べた。

科学技術市場は、社会主義志向の市場経済に不可欠な部分であり、国の社会経済的発展のための重要な役割を果たしている。