広がる電子原産地証明書 偽物排除やブランド確立に

多大なメリット
消費者がスマートフォンなどの端末で、手軽に原産地などを確認できる電子原産地証明書の導入が農林水産業界で進んでいる。生産から販売にいたるまで、商品の流通経路が透明化できるため、偽物の撲滅や特産品のブランド力アップにもつながる、と期待が集まっている。

写真㊤=農産物を中心に普及が進む電子原産地証明書

国内で最も早く電子原産地証明書が導入されたのは北中部のゲアン省。特産品のビン・オレンジの偽物がひんぱんに出回るため、偽物撲滅の一環として、同省科学技術局が2017年11月からギアソンとギアラムの両村で導入した。同省の電子原産地証明書は、スマートフォンなどの端末で産地をたどることができる。

ハノイ農産物販売促進センターのド・ホアン・チャック副代表は、「電子原産地証明書とは、生産から箱詰め、販売にいたるまでを管理するために設計されたプログラムのことだ」と説明する。システムを導入すれば、地域の農林水産業の商品的価値や国内外の市場における競争力を高めることにも役立つという。

クアンニン省の新地域開発局によると、同省では、VNPT (ベトナム郵政通信総公社) の電子原産地証明書を223の商品で試験運用している。商品の原産地や特徴、値段、生産者情報を記録。消費者は商品を買う前に、スマートフォンなどを使って、これらの情報や消費期限を手軽にチェックすることができる。また、記録された地理情報は配送にも役立っているという。

偽物の排除や、商品の規格化の面でも期待が集まる。クアンニン省の一村一品運動の特産品であるハロン・イカパイやチェンイエン・チキンなどのように、商品の来歴を明示することで、ブランド力アップにつながっているケースもある。

広がる利用者
大きなメリットのある電子原産地証明書だが、課題もある。スーパーによって添付するシールのサイズやデザインが異なるため、現場からは、シールを貼り換える手間がかかるとの不満の声も出ている。また、規模の小さい個人事業主の中には、ITに疎い人も多く、商品や品質の管理への投資に消極的なケースも少なくない

しかし、電子原産地証明書のメリットが広く知られるようになるにつれ、導入に踏み切る地域の生産者も出てきた。ハノイ農産物販売促進センターのチャック副代表は、「消費者が電子産地証明書のある商品を歓迎すれば、結果的には売り上げにもつながることになるだろう。ハノイ市でも普及を加速させていきたい」としている。