グエン・スアン・フック首相はこのほど、ホーチミン市郊外にあるタンソンニャット国際空港の拡充計画で、フランスのパリ航空公団(ADP)グループのコンサルタント会社、ADP-Iが提案した新旅客ターミナル建設案を了承した。実現によって、同空港の旅客処理能力が大幅に改善されると期待される。

ADP-I案は、旅客ターミナルの建設とバックヤードの拡充を並行して行うことで、同空港の混雑の制御を目指すというもの。新しい旅客ターミナルは、現在の空港の南側に建設予定で、新たに年間約2000万人の処理が可能になる。これによって、タンソンニャット空港の旅客処理能力を、2025年までに年間5000万人に引き上げるとしている。

タンソンニャットは2500万人の旅客を想定して設計されたが、2016年の年間利用者数は3200万人、昨年は3600万人と、利用者の急増で深刻な飽和状態になっているのが現状だ。離着陸する航空機の増加に処理能力が追い付かず、航空機が着陸できずに上空で待機させられる事態もたびたび発生。ベトナム経済の中心地ホーチミン市への空の玄関口の拡充が、緊急課題とされていた。

ADP-Iの提案では、旅客ターミナル拡充に加え、現在の空港北部に、貨物ターミナルや航空機の整備ステーションなどを新設し、空港支援業務を集約する計画も盛り込まれている。土地が有効活用でき、国際民間航空機関(ICAO)の定める安全性の基準も満たすことができるという。

新ターミナルを含めた同空港の拡充に当たって、フック首相は運輸相に対し、計画の調整役となっているベトナム国防省傘下の航空工事設計建設有限会社(ADCC)と運輸相が協力して、実現に向けてADP-Iを監督・指示していくよう求めた。