無形文化遺産登録の民族芸能「バイチョイ」 ユネスコが中部各省に証明書授与

昨年12月にユネスコの無形文化遺産に登録が決まったベトナムの民俗芸能「バイチョイ(Bài Chòi)」の登録証明書授与式が今月5日、ビンディン省の省都、クイニョン市で行われた。式典にはグエン・スアン・フック首相のほか、バイチョイを継承する中部の9つの省や市の代表者らが出席した。

バイチョイは、音楽や詩歌、演劇、絵画、文学など多様な芸術的要素が融合したベトナムの民俗芸能。テト(旧正月)の時期などに、農村や家庭で、身近な芸能遊びとして行われていた。中部のクアンビン省、トゥアティエン・フエ省、ビンディン省、ダナン市などで継承されてきた。民謡を歌いながら、カードを使ったゲームを行うというもので、農村コミュニティにおける伝統的な娯楽でありながら、芸術を楽しむ手段でもあるという点が評価され、世界無形文化遺産に登録された。

式典で、ユネスコの代表者が、文化・スポーツ・観光省のグエン・ゴック・ティエン大臣に証明書を渡すと、会場から大きな歓声が上がった。

式典で、フック首相は、「過去10年間にわたり、ユネスコの自然遺産、文化遺産、または民族コミュニティに伝わる世界記憶遺産にベトナムが選ばれる名誉にあずかっている」と紹介。「(バイチョイの文化遺産登録によって)ユネスコの多様で豊かな文化遺産の地図に、また一つ、ベトナムの芸能が書き加えられた」と称えた。

バイチョイは、ベトナムにとって12件目のユネスコ無形文化遺産。中部の人々の誇りだったこの民族芸能だが、ユネスコがバイチョイを称えたことは、世界の人々がベトナムの豊かな文化を再認識するきっかけとなった。同時に、この遺産がベトナムだけでなく、人類共通の財産となったことから、この民俗芸能を維持、保存すべき私たち一人ひとりの責任はさらに重くなるだろう。