ベトナムでは今年、若手官僚を農業協同組合へ派遣するパイロットプロジェクトが始動する。この取り組みは、2015年から5年間の開発プログラムの下、財務省が農業協同組合の人材育成や新組合の設立、組合存続に向けた再編成に対し、財政支援を決定したことを受けたものだ。

■効果的に運営する組合はわずか38%
農業・地方開発省 協同組合・地方開発局によると、2017年末まで、ベトナムには11,668の協同組合があり、410万人の組合員を抱えていた。だが、これらの組合のうち、効果的に運営できているのはわずか38%であり、残りは非効率な運営を続けている。同局によれば、2013年7月から2017年末の間に、2,366の協同組合が解散、または合併をしている。また、795の組合(全体の6.8%)は事業を停止したが、まだ解散には至っていない。こうした協同組合は35の地域にまたがり、特にハノイ市、ハイフォン市、ビンフック省に集中している。

さらに、協同組合はいまだ資産の取り扱い、とりわけ国や他機関からの資産や組合自体の資産の区別ができていない。また、国に支払うべき税金や手数料、公共料金といった債務の処理、金融機関のローン、組合員に対する債務、そして協同組合自身が組合員や個人、機関から回収すべき資金についても困難に直面している。

農業・地方開発省のチャン・タイン・ナム副大臣は、「協同組合の運営は、望ましい結果をもたらさなかった。それは、職員のマネジメントスキルや技術的なスキルに限界があることが理由の1つ。多くの職員は柔軟性がなく、組合員への技術的なコンサルティングやガイダンスも不十分であり、その結果、組合事業の非効率化を招いている」と述べた。

■専門分野を学んだスタッフがコンサルティング
その一方で、優秀な管理者と技術スタッフを擁する多くの協同組合は、効率的な事業運営を続けている。一例として、ホアビン省のMuong Dong協同組合、ビンフック省のVan Hoi Canh Safe Vegetable協同組合、ハイズオン省のXuyen Viet Aquatic Products協同組合、タイビン省のBinh Dinh Agricultural Service協同組合、ダクラク省のCong Bang Eakiet Coffee Cooperative協同組合などがある。

酪農協同組合のEvergrowthも、1つの成功例と言える。この協同組合には、獣医学、畜産学、栽培、経済管理といった専門分野を学んだ20人以上の大学卒業生からなるチームがあり、酪農家に技術的なコンサルティングを行っている。組合のディレクターは、畜産学と経済管理の分野で大学院の学位を取得している。また、Evergrowthの会計業務は、国際的なプログラムに基づいてコンピューター化されている。

このように組合職員の技能を向上させることは、極めて重要である。協同組合・地方開発局は、大学や専門学校を卒業した若手官僚を、有期契約で農業協同組合へ派遣することを提案。今年、各協同組合には、技術職員と会計士が1人ずつ派遣されることになった。対象となるのは、2012年協同組合法に従って運営され、農業生産と販売を連携させている組合となる。協同組合は生産計画と販売計画を提示し、人的資源を効果的に活用するよう努めなければならない。

同局副局長のレ・ドック・ティン博士は、「組合職員のマネジメントスキルや技能は、農業協同組合の発展に極めて重要な要素である」と述べた。

また、チャン副大臣は、若くて技能を持つ官僚たちの新しい技術や知識は、組合運営の効率化に寄与するだろうと信じている。そして、「彼らが働くにあたり、組合について、また組合のニーズについての明確な情報が提供されるだろう。プロジェクトでは、各省がサポートを受ける5つの協同組合を選択する。2019年からこのモデルを普及できるよう、プロジェクトの結果は今年後半に見直すことになる」と語った。

派遣される技術職員と会計士は、組合のマネジメントや、新しい生産・販売技術の応用を手助けするために適切に人選される。