ハノイ郊外、ダムのボート祭り 国の無形文化遺産に認定

数世紀にわたって継承されてきた「ダムのボート祭り」は、首都ハノイ郊外で、5年ごとに行われている活気にあふれた色鮮やかな祭りだ。開催年だった今年、祭りは文化・スポーツ・観光省によって、国の無形文化遺産に認定された。4月23日から3日間にわたって繰り広げられた競技には、150人の漕ぎ手が参加して祭りを盛り上げた。

ダムのボート祭りは、花の栽培などが盛んなハノイ市郊外のバク・トゥ・リエム地区のダム村で、5年ごとに開催されてきた。主催者らによると、祭りは地域コミュニティを活性化し、人々のつながりや連帯意識などを強めるとともに、漕ぎ手となる若者たちに規律を教え、柔軟性や粘り強い精神をはぐくむ機会として継承されてきたという。

祭りは、旧暦の3月11日から3日間が開催の日で、今年は西暦の4月23~25日に行われた。初日には、無形文化遺産認定を伝承する式典が行われた。

もとは、18代続いたフン王朝を支え、他国の侵略を3度も防いだとされる守護神、バック・ハック・タム・ザン将軍を称える儀式として始まったとされる。1994年までは、祭りはニュエ川支流のトゥイ・ザン川で毎年、行われていた。近年は5年ごとの開催となり、ダム村にあるトゥイ・ザン川の約1キロの区間を使って行われている。

競技には、6艘のドラゴンボートで150人もの漕ぎ手が参加。1艘の船に25人が乗り込み、このうち1人が舵を切り、1人が船に入り込む水をかき出す役割を担う。各チームとも、祭りの約1カ月前から、練習に励んできた。

祭りは神事としての色合いも強く、それぞれの船の船首には神聖な飾りが取り付けられる。

競技が始まる前には、黄色や赤、青のそろいの服を身につけた漕ぎ手たちが、地域の会館で線香を捧げ、手を清める。また、ハトの放鳥や雄鶏の闘鶏、人が駒となる人間版のチェスのようなゲームなど、さまざまな宗教儀式や行進などが執り行われる。また、競技後、祭りの最後はおおがかりな花火で締めくくられる。

競技が始まると、川の両岸では勇壮な競技を見守る観客らが、太鼓などを叩いて、ひいきのチームを応援する。

祭りは、このような文化性や伝統が継承されていることから、今回の無形文化財の認定となった。

バック・トゥ・リエム地区人民委員会のド・マイン・トゥアン委員長は、「ダムのボート祭りは、際立った文化的価値と、観光客をひきつける潜在的魅力をもっている。これらを適正に開発し、今後、地域の発展に役立てたい」と話している。