VR技術で楽しむフエ王宮、タイムスリップを体感

フエ遺跡保存センターは、2018年のフエ・フェスティバルを前に、王宮を訪れる観光客に向けたバーチャル・リアリティ(VR)ツアーを開始した。このツアーは、フエの観光業の発展や遺跡保存を推進するために企画され、歴史遺産を生き生きと楽しめる設計がなされている。

フエ王宮はベトナムを代表する文化遺産であり、中国と韓国の遺跡とともに、最先端の技術を導入した3つの遺跡のうちの1つ。今回開始したツアーは、フエ遺跡保存センターと韓国側のパートナーであるIV COM社が提携し、480億1190万VND(約2億3000万円)を投資して設置された。

VRツアーは、過去と現在が交わる多次元空間を体感できるのが特徴だ。観光客は、200年前にタイムスリップしたかのように、輝かしい色に彩られたカイ・ディン帝廟の精巧なデザイン、壮大な外観を体感することができる。また、上方からフエ王宮を眺められるシミュレーターなども設置。観光客は、VR技術によってフエ王宮を“旅行する”感覚を味わえる。

王宮は、フエ市内にある城塞に囲まれた宮殿で、1802年から1945年にかけて、グエン朝の皇帝たちが暮らしていた。数百を数える宮殿や建築物が、1960年代から70年代のベトナム戦争で大きな被害を受けたが、近年、数十年をかけて修復されている。後に、ユネスコの世界遺産にも登録された。

ハノイから来たマイ・ホアさんは、「VR技術で、フエの遺跡を見学できるのはとても素晴らしい」と語った。ツアーを通して観光客は、古都の文化や歴史遺産をより深く学び、残された遺跡を尊重することができるだろう。

フエ遺跡保存センターのセンター長、ファン・タイン・ハイ氏は「引き続き、観光客からの提案を十分に検討し、要望に応じた改善を行っていく。フエ王宮だけでなく、帝陵などのフエの遺跡についてもVR技術を活用していく予定だ。より多くの観光客に来てもらうために、価値のある体験を提供し、観光業を主要産業、グリーン産業に発展させたい」と語った。今後もVR技術については、観光客に満足してもらえるよう新しいテクノロジーを取り入れていくという。