ベトナムの文化・スポーツ・観光省は、少数民族、チャム族の伝統陶芸技能を、UNESCOの「緊急に保護する必要がある無形文化遺産の一覧表(緊急保護リスト)」への登録申請を検討している。このほど、チャム族が多く暮らす中南部のニントゥアン省に対し、申請に向けた報告書をまとめるよう要請した。

チャム陶芸は、ロクロを使わず製品を形成していくところが、最大の特徴だ。単純な道具や貝殻などで、美しい装飾を施すところに、職人技が求められる。製品は成型後、4~6時間かけて天日干しされ、屋外でワラや木を使って焼き上げられる。

チャム族の人々は手先が器用で、古くから、日々の生活に使う日用品から、精神的な信仰用の品まで、多様な陶器を作成してきた。水や米などを保存しておくための筒状の容器などのほか、浮き彫り装飾のレリーフ、装飾的なランプ、神話の神々の像など、作り上げられる陶器製品は多岐にわたる。チャムの人々の創造性や、その文化の独自性などの象徴とされている。

文化・スポーツ・観光省は、ニントゥアン省に対して調査を行うと同時に、チャム族が暮らし、伝統陶芸を行っている他の地域とも連携し、報告書作成で協力するよう促した。

チャム族の人々の陶芸技術に関しては、ビントゥアン省や、ニントゥアン省バウチュックなどで行われてきた陶芸技能が、ベトナムの無形文化財に登録されている。特に、バウチュック陶芸村は、陶芸職人らが集まった村としては東南アジア最古と言われており、村の400世帯のうち、約85%が陶芸産業に携わっている。