センサーで温度・湿度管理、IoTがベトナムの農業を変える

IoT(Internet of Things)とは、あらゆる「モノ」がインターネットにつながる仕組みのこと。こうした第4次産業革命は、ベトナムの農業ビジネスや農家にも押し寄せ、IoTの導入により、生産の制御やモニタリングが可能になってきている。

中部高原地帯のラムドン省は、ハイテク農業の分野で国を牽引している。ラムドン省生産・植物保護支局によると、同省の約5万1800ヘクタール分の作物が、ハイテク技術によって栽培されており、野菜はそのうち約1万9000ヘクタール、花卉は3623ヘクタールを超え、茶は約6335ヘクタール、そして約1万9885ヘクタールでコーヒーが栽培されている。

ラムドン農業促進センターは、IoTを活用した農産物の生産をサポートしており、その導入によって、農家はより計画通りで、正確な生産プロセスを採用することができる。灌漑や冷却、光などを管理するため、IoTデバイスは温度や湿度、pH値を測定するセンサーに接続されており、問題が発生したときには使用者へアラートを伝える。

IoTによって、農家は、生産状況を完全に把握できるようになる。農業におけるIoTの活用は、生産効率を高めて、市場要求に応じるための農産物の追跡調査も容易にする。

ハチグループ(Hachi Group)のCEOで創業者のダン・スアン・チュオン氏は、農業分野にITを活用することへの可能性を感じてきた。チュオン氏と彼のグループは、収穫量を増加させるためのスマート水耕栽培システムのアプリを開発した。このシステムは、AndroidやiOSのオペレーティングシステムに対応したモバイルフォン用アプリ、IoTのハードウエア、一般的な水耕栽培システムの3つのパートから構成される。モバイルアプリは温度や湿度、光といった環境パラメーターを制御し、IoTのハードウエアはモバイルアプリと水耕栽培システムを接続してポンプを制御し、環境に関するデータをサーバーへ送信する。

ハチグループは、ハノイにおける、家庭向けの初期の水耕栽培プロジェクトに加えて、バクニン省やフエ、ラムドン省などの大規模農園とも契約を締結している。

また、ホーチミン市にあるクアンチュン・ソフトウェアシティも、スマート農業管理システムを開発した。このシステムは、温度や湿度、光、pH値といった情報を収集し、植物に適した環境を確保するためにデバイスを調整する。

農業分野においてIoTは、重要な役割を果たしている。センサーを用いたスマート管理ソリューションによって、農家はスマートフォンやタブレットで、全体の生産プロセスを制御し、モニタリングすることができる。