第4次産業革命とは、IoTやビッグデータ、人工知能などの技術革新によって、財やサービスの生産・提供の効率化を図ろうとする動きであり、インダストリー4.0ともいわれる。ベトナムの商工部門も、第4次産業革命はすべての部門・分野に幅広いインパクトを与えると考え、導入に向けた準備を加速させている。

第4次産業革命がもたらすチャンスと課題
まず、ベトナム商工省(MoIT)は、日本の経済産業省、駐ベトナムドイツ大使館、在ベトナムドイツ商工会議所、国連開発計画(UNDP)駐ベトナム代表事務所、米国・UPSグループ、ドイツ・シーメンスグループと連携して、インダストリー4.0をテーマにしたワークショップを開催した。この活動には、第4次産業革命がもたらすチャンスや課題に対する、一般的な知識を深める狙いがある。インダストリー4.0は、商工省傘下のトレーニング機関のカリキュラムにも組み込まれ、企業に対し生産における技術的な応用に関する情報やコンサルティングを提供してきた。

また、商工省はUNDPとともに、インダストリー4.0時代における企業の準備状況について調査を行っている。調査チームは、ドイツ機械工業連盟によって開発された調査手法、基準、評価を用いているが、これらはベトナム企業の状況に合わせて調整されている。

調査は、商工省の監督下にある17の部門・分野の計15,000社を対象に、団体や法人、工業生産協会、市や省の商工局の支援を受けながら実施されている。調査結果は、開発方針を見直すための重要な論拠となるほか、インダストリー4.0の導入によって企業が最大限チャンスを得られるよう、特定分野の優先事項も提示するとみられる。

オンラインの生産監視・管理システムの開発
インダストリー4.0の技術研究と応用を進めて、「スマート工場」を徐々に建設していくことは、商工部門の再編計画と閣僚級の科学技術計画における重要事項である。商工省は、企業や調査機関、コンサルティング機関とともに、関連するプロジェクトについて議論を行っている。

具体的には、2018年と19年に、Saigon-Hanoi Beer Corporationで、オンラインの生産監視・管理システムを設計、開発するための研究プロジェクトを始動する。また、Rang Dong Light Source and Vacuum Flask Joint Stock Companyでは、欧州と北米向けのLEDや電子製品の品質、信頼性、競争力を高めるため、経営改善に向けたERP(Enterprise Resource Planning、企業資源計画)システムを構築するための研究を行う予定だ。

商工省の監督下にあるグループや企業は、インダストリー4.0の導入に向けてイニシアチブをとってきた。ペトロベトナムグループ、VINATEX(ビナテックス、ベトナム国営繊維企業グループ)、ベトナム電力公社グループは、インダストリー4.0の技術とソリューションを提供する海外のパートナーと協力関係を築いた。

商工省は、第4次産業革命がもたらす影響力や効率を高めるために、eコマース(電子商取引)やデジタル経済、管理システムにおけるインダストリー4.0の技術応用の開発を推進している。