ノイバイ国際空港でサイの角押収 密輸摘発に全力挙げる ベトナム税関当局

ベトナム税関はこのほど、動物の保護を目的としたワシントン条約によって、輸入や売買などが禁止されているサイの角13本(約34キロ)を、ハノイのノイバイ国際空港で押収した、と発表した。角は南アフリカ共和国からの貨物の中に入っていた。

当局は違法取引と見て捜査している。サイの角は、南アフリカからカタール航空の貨物便で送られてきたもので、10月4日にノイバイ国際空港に到着した。輸出用書類に、送り手として記載されていのは、「EXQUISITE GLOBAL SHIPPING& LOGISTICS」という会社名で、所在地は南アフリカのヨハネスブルグだった。あて先は、ハノイ市郊外のソクソン地区に住む個人の男性だったが、当局が連絡をしたところ、男性は荷物の受け取りを拒否しているという。
今月初旬、関連当局が、倉庫運営会社やカタール航空の関係者らを立ち合わせて現場を捜索したところ、荷物の中から13本のサイの角が発見されたという。
サイは、生息数の激減から1977年、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」(ワシントン条約、CITES)で輸出入などが禁止されている。当局は今後、角のサンプルを採取し、密猟されたと見られるサイの大きさや体重、種類などを調べることにしている。
ベトナム税関は近年、ワシントン条約の遵守を徹底し、輸出入が禁止された動植物や、それらを原材料とした加工品の違法取引の阻止に力を入れており、空港などでの検査を強化している。しかし、ワシントン条約に違反する動植物の密輸は後を絶たず、ノイバイ国際空港では、9月末にも、1トン近い象牙の密輸が摘発された。また、生きたセンザンコウも、ナイジェリアからノイバイ国際空港へと密輸されたところを発見され、保護されている。
サイの角は、中国を中心にアジア全域でかつては、漢方薬の材料として高値で取引されていた。現在はワシントン条約で輸出入が禁止されているが、動物保護団体などは、アフリカからベトナム経由でサイの角が中国に密輸されていると指摘していた。かつては、ベトナム国内にもジャワサイが生息していたが、世界自然保護基金(WWF)は、2011年、密猟によってに絶滅したとしている。