ビニール袋やプラスチックゴミ ベトナムでも社会問題化

人々の生活習慣などによって、ビニール袋をはじめとしたプラスチックゴミが、ベトナムでも急増している。自然に分解されにくいため、地球環境を汚染し、動植物や人間の健康にも悪影響を与えるなど、社会問題化している。

2018年の国連環境計画の報告によると、毎年、全世界で5000億枚のビニール袋が使用されており、プラスチックの約40%は梱包資材として使われているという。ベトナムプラスチック協会の報告によれば、2015年、ベトナム国内では500万トンのプラスチックが生産・消費され、このうち80%の原材料は輸入された廃プラスチックだった。

ベトナムの1人当たりの年間プラスチック消費量は、1990年には3.8キログラムだったのが、2015年には41キログラムにまで増えた。プラスチック消費を制御しようと、天然資源・環境省は2016年~2018年、申請のあった企業208社のうち、37社の生産原料メーカーにしか、廃プラスチック輸入の許可証を認めかった。しかし、それでも廃プラスチック輸入は増え続けており、2016年には1万8548トン、2017年は9万839トン、2018年の1~9月は17万5000トンとなった。

同省の統計情報によると、ハノイ市では、毎日4000~5000トンのゴミを排出しているが、このうちの7~8%がビニール袋だという。ハノイ市とホーチミン市の2大都市だけで、毎日80トンのプラスチックやビニール袋などが、ゴミとして出されている計算だ。

ベトナムの生活廃棄物の中で、プラスチックとビニールは8~12%増えている。少なくともこの10%をリサイクルしないと、これらの廃廃物だけで年間で約250万トンにものぼることとなり、すでに重大な環境問題を引き起こしていると専門からは指摘する。

天然資源・環境省は、環境汚染を食い止めるための政策を打ち出している。各省庁や地方政府当局の機関などと連携して、環境問題のセミナーを行ったり、生分解性プラスチックを素材として使った袋の採用などを推奨している。

さまざまな化学研究も行っており、科学技術省と産業貿易省が協力し、ビニール袋などによる環境汚染を防止する計画を盛り込んで、環境保護に関する技術開発にも乗り出している。

具体的には、自然分解されにくいプラスチック素材の生産会社に発行されていたライセンスを禁止するなど、従来のプラスチックの管理を強化している。また、リサイクルを強化したり、スーパーの買い物袋は100%、環境に優しいビニール袋とすることを目指すなど、各都市で応用が始まっている。これを受けて、すでにビッグC、ビンマート、クーパーマトなどの流通大手は、環境に優しい素材を使ったビニール袋を使いはじめている。

政府令の「分解しにくいビニール制御強化についての582/QĐ-TTg決定」では、政府は2020年までに、従来のビニール袋類の使用を、2010年と比べて65%削減するという目標を掲げている。

この目標実現に向けて、プラスチックリサイクルに特化した工業団地を作ったほか、2026年からは、自然分解しにくい従来のビニール袋の生産を全面的に禁止する方針だ。また、分解しにくいビニール袋に対する環境保護税を高めたり、市民にビニール袋が引き起こす環境問題などの知識を広めることも始めている。