ベトナムで地雷や不発弾の除去加速 政府も本腰、国際的支援も活用

ベトナム戦争終結から40年余りが過ぎても、ベトナムでは地雷や不発弾による被害が絶えない。国土の約21%を超える610万ヘクタールにまだ地雷や不発弾があると推定されており、2010~2014年の4年間だけでも2000人近い人が死亡したというデータが、このほど発表された。

ベトナム防衛省傘下の「ベトナム地雷・不発弾除去国家行動センター(Vietnam National Mine Action Center=VNMAC)」が今月23日、不発弾や通称「エージェント・オレンジ」と呼ばれるダイオキシンなどの被害者を支援するために開催した国際会議で、同センターのダン・バン・ドン副センター長が報告した。

報告によると、ベトナムに残された不発の爆弾や地雷は、中部高原地帯を中心にベトナム中部各省に集中。被害者は、16歳以下の子どもたちが最も多かった。また、鉄くずなどの収集をする人々、市街地から離れた地域の孤立した集落の住民なども、被害が多かったという。

センターでは、不発弾や地雷の除去活動、被害者支援、不発弾の被害予防のための広報活動などを行なっている。地雷などの被害者家族に対しても、生計支援プログラムを実施。被害家庭一世帯あたり最高で500万ドン(約213ドル)の資金を援助する。また、米国や日本、英国など各国政府や、さまざまな国際機関などとも協力し、地雷などで障害を負った被害者への能力開発事業、職業訓練なども展開している。

会議では、不発弾や地雷を全て取り除くことを目指しながらも、処理や除去にかかる費用が高いため、不発弾などが多く残された地域に暮らす人々への危険箇所などの情報提供と注意喚起活動が優先されているといった現状も伝えられた。

一方で、動き出した大型プロジェクトもあり、昨年10月には、クアンビンとビンディン各両省で、ベトナム戦争終結以降、放置されたままだった爆弾や地雷を2020までに除去することが決定された。韓国国際協力団(KOICA)から約2000万ドルの支援を受け、まずは不発弾が多く残るビンディン省の土地約8000ヘクタールの土地で除去作業を実施。さらに2万ヘクタールの土地で、不発弾の有無などを調査する計画だ。さまざまな行動計画の前進に役立てるため、両省の被害者についてのデータも収集していくという。

この事業に先駆けて、今年4月、「戦後の不発弾・有害化学物質による被害克服のための国家指導委員会、別名「701委員会」が、防衛省の下に組織された。委員長を務めるのは、グエン・スアン・フック首相、委員には閣僚をはじめとする政府関係者らが名を連ねる。同委員会のメンバー、ドー・バン・デュアン氏は、「(委員会の発足は)不発弾処理や毒性化学物質など、戦後の問題を乗り越えようという政府の意欲を示している」と話す。