ホームステイ事業がターチャイ村を支える

美しい自然、澄んだ空気、地元の人の親しみやすさ、少数民族タイー族の伝統文化、中でもソエという国家無形文化財の伝統芸能など、ターチャイ村には多くの魅力がある。

ここ数年間、少数民族の文化を楽しめる、とターチャイ村(バックハー県)が人気を集める。ターチャイ村でのホームステイは、地元の人の新たな収入源となっている。

バックハー県ターチャイ村は、かねてから少数民族、中でもタイー族の伝統的な文化が色濃く残る地として有名だ。ソエ祭り、ロントン祭り(農業祭)など、特にお祭り文化が知られている。ターチャイ村はこの強みを生かし、観光業を発展させた。

ターチャイ村のタイー族は、お正月に加え小正月、陰暦12月15日のロントン祭り、陰暦2月2日の森を礼拝する祭り、陰暦10月の新米祭りなど伝統的なお祭りで有名だ。

ターチャイ村は県の中心から近く、交通の便が良い。美しい自然の景色や澄んで涼しい気候を楽しめる。ラオカイ省バックハー県では、ここ最近ターチャイ村の観光業への投資を進める。

ターチャイ村人民委員会主席のゴ・クアン・タン氏は次のように話す。「この土地の強みを生かすため、国からの投資や援助に加え、ターチャイ村でもホームステイ事業を推奨しています。現在まで、村では15の家族が事業に賛同していて、2015年3月に国家無形文化財に指定されたターチャイ村のタイー族のソエなどの伝統文化を守り伝える活動を行ってきました。また、ターチャイ村では12ヘクタールの土地で高度な技術を用いた農業を行い、30ヘクタールでは無農薬の野菜を栽培しています。食の安全が地方での観光業促進に繋がると考えています。」

バックハー県から1キロほど行くと、タイー族伝統家屋である高床式のヴァン・ヴァンさんの家に到着する。ヴァン・ヴァンさんはターチャイ村で初めてホームステイ事業を始めた人だ。家の周りでは、外国人の子供が地元の子供と楽しそうに遊ぶ様子が見られる。

「バックハー県に旅行に行った友人が自然や独特な文化を褒めるのを聞いて、この地に興味を持ちました。自分の子供にも特別な経験をさせたいと思い、ホームステイのツアーへの参加を決意しました。風俗習慣や文化などに触れることができとても良い経験です。」アメリカからの観光客のマック・ライクさんはこのように語った。

ヴァン・ヴァンさんによると、バックハー県を訪れる観光客は去年大変多かったという。外国人観光客は平年並みだが、実った稲穂を見にバックハー県を訪れるベトナム人観光客が多かったようだ。観光客を迎えるため、多くの家では新しいシーツや布団、食料を用意し、伝統的な風俗習慣を大切にするだけでなく、トイレや入口などの整備も行った。外国人観光客に喜んでもらいたいと、家で作った食材を使って少数民族の伝統料理を提供している。

2019年のお正月に、より多くの観光客にターチャイ村に来てもらいたいと村では多くの提案が行われた。ターチャイ村ナロー区の書記長ヴァン・ヴァン・タンさんは「私たちは積極的に衛生面を整え、食の安全などの確保に努めています。中でも、観光客向けの伝統芸能ソエの演奏などの整備に力を入れています。」と話す。

ターチャイ村のホームステイは、ナロー区で初めて事業が始まった後、ナホー区、ナキム区、ナタ区など多くの地域で広がった。現在では15の家族がホームステイ事業に加え、土産物販売や観光ガイドを行っている。また、観光客を惹きつけるため、地域の人々は独学で外国語、料理を学び、観光客に披露できるようソエを披露するチームを作った。

ホームステイ事業はターチャイ村を変えたと言える。今後、ターチャイ村では電気の整備や観光業の多様化、宣伝強化などが行われる。ホームステイ事業はこれからも発展し、地方の貧しさを解決する手段の一つとなるだろう。

記事と写真 チャン・スアン・クン