ベトナム当局、電動自転車市場の監視強化 中国製品の製造地偽装ふせぐねらい

ベトナム商工省(MoIT)などが、ベトナム製の電動バイクや電動自転車について、製造地の確認監視などの措置を強化している。欧州連合(EU)が、複数の中国製品に輸入関税を課した影響から、今後、ベトナムを経由した迂回輸出や、製造地の偽装などが増える可能性があると見て、神経をとがらせている。

EUは今年1月18日、中国製の電動バイクなどに対して、反ダンピング(不当廉売)関税の適用を決定し、18.8~79.3%の関税適用が始まった。今後5年間、措置が継続される見込みだという。

2016年10月から1年間かけて、EUが行なった調査によると、EU域内に輸入される電動自転車・バイクは年間約94万台にのぼり、その約74%を中国製(69万9658台)が占めていた。

調査では、中国製品の関税引き上げが検討されはじめて以降、ベトナムからの電動自転車輸入が急増したことも判明。昨年1年間に、EUがベトナムから輸入した電動自転車・バイクは約14万台で、総輸入台数の約12.4%に相当した。販売金額は6690万ユーロだった。2017年1年間の輸出と比較すると、数量で47.4パーセント増、金額ベースでも22.6%の増加だった。

このような背景を受け、EUは中国製の電動自転車やバイクが、関税回避のために「ベトナム製」と偽ってEU各国へ輸出される可能性を指摘。ベトナム貿易局では今後、EUによるベトナムの輸出業者への調査が実施される可能性があると指摘している。

中国製品の製造地偽装などがあれば、粗悪品がベトナム製と名乗ることでベトナム製品のイメージが悪化する可能性がある。また、正規のベトナム製電動自転車のEUへの輸出弊害にもなりかねない。

このため、MOITでは財務省と協力し、国内市場と輸出活動を厳格に監視していく考えで、調査官が電動自転車の取り扱い業者などを訪問し、製造地を確認する調査を開始した=写真㊤。