「父の過去」探して得た絆=映画携え訪越-元日本兵の娘

 【ハノイ時事】第2次大戦後もベトナムに残り、フランスからの独立戦争に加わった元日本兵の娘である茨城県の女性が、このほどハノイを訪問した。ベトナムで暮らす元日本兵家族らと会い、父親の足跡を調べる過程をまとめたドキュメンタリー映画を共に鑑賞。これからも交流し、絆を深めることを確認した。

 土浦市の添野江実子さん(59)は2015年、訪問先のハノイで見せられた元日本兵の集合写真に写る父親の姿に気付いた。ベトナムに滞在した9年間を詳しく語らず02年に亡くなった父親の過去を知ろうと、日越両国で関係者に話を聞き、映画の制作を決意した。

 映画「私の父もそこにいた」は18年に完成し、日本で上映会を約20回開催。ベトナムでの映写は初めてだ。

 

 ホー・チ・ミン率いるベトナム独立同盟(ベトミン)に協力した元日本兵の存在は、日越双方であまり知られていない。彼らが日本へ帰国した後、二度と会うことができず苦しんだベトナムの家族もいる。父親の住んだ場所や生活ぶりが今も分からぬままの添野さんは「一人でも多くの方に(元日本兵のことを)知ってほしい」と話し、調査を続ける考えを示した。

 

 一方、自身と元日本兵や家族とのつながりは得難いものとも強調する。映画は「優しく迎えてくれた人たちと、違う国にいても支え合っていく」という添野さんの言葉で終わる。