iPadで変わる、メコンデルタのスマート農業=ドンタップ省、ハウザン省の取り組み

メコンデルタに位置するドンタップ省は、農産物の買い手が見つからない農家に対し、ICTを活用したスマート農業を導入する方針を打ち出している。同省党委員会のレ・ミン・ホアン書記長は、「ドンタップ省は、農家が生活を向上できるよう、この地域では初めて経済情勢などの情報を彼らに提供している」と述べた。

写真㊤=ハウザン省の米の収穫(VNA)

ホワン氏の指摘を受けて経済界も動き出し、省内の農家にタブレット型コンピューターのiPadを寄付。ホワン氏は「iPadは、国内外の農業技術について学べる便利なツール」と言い、「これは、“知識革命”に取り組む最善の方法だ」と続けた。

また、同じメコンデルタにあるハウザン省も、2年前にグエン・スァン・フック首相の訪問を受けてから、スマート農業に注目し始めた。訪問の際にフック首相は、「ハウザン省は、農薬を使った工業型農業から、有機農業やスマート農業へ移行する必要がある。農業をサポートするサービスや加工技術などの発展を目指すべきだ」と述べたという。

以来、同省は、持続可能な農業の開発と、新しい農村エリアでのそのプログラムの実現に力を注いできた。

今年は、水産養殖や米、野菜の栽培を優先したスマート農業を通して、グリーン経済を推進。同省ロンミー市に5200ヘクタールのハイテク農業公園を設立し、企業や農家が公園内で、クリーンで環境にやさしい農業を行うことを支援する方針を掲げている。

また同省では、米に加えて、ドラゴンフルーツやパイナップル、サワーソップといった製品も栽培し、海外へ輸出している。

同省人民委員会のレ・ティエン・チャウ委員長によると、農家が先端技術を学ぶには助けが必要であり、科学者や大学、研究機関は彼らの力になることができる。

カントー大学のチュオン・ズイ・カン博士も、「地域社会は、先端技術や主要作物の開発を重視している」と指摘した上で、「農業革命は、農薬や化学肥料の使用を削減することから始めなければならない。バイオ製品や環境にやさしい製品に置き換えることで、栄養価の高い作物が作れるようになる」と述べた。