ベトナム国内市場、食の安全への意識拡大=プレミアムストアもオープン

消費者ニーズの拡大とともに、いまだ多くの食品が安全性に課題のある現状を受けて、ベトナムの食品会社は、生産プロセスを改良し、より安全安心な食品の提供に努めている。

例えば、食品加工大手のビッサン(VISSAN)はこのほど、ホーチミン市1区に「ビッサンプレミアムストア」の第1号店をオープンした。ここでは、冷凍の輸入肉や加工食品、香辛料、野菜、根菜、果物、ハーブで育った豚肉といった高級食料品を取り扱っている。

同社のグエン・ゴック・アン社長によると、このハーブで育った豚肉は、適正農業規範のVietGAP基準に適合し、消費者にも安全な食品だという。近い将来ビッサンは、新たにホーチミン市やその他の地域にも、プレミアムストアを展開する予定だ。


ホーチミン市1区にオープンしたビッサンプレミアムストア

ホーチミン市にある大手食品加工・生産会社のサイゴン商業総公社(SATRA)は、小売業としても成功を収めている。同社は、コンビニエンスストアを225店舗持ち、4000種類を超える製品を販売。食品はそのうち80%以上を占めている。グループでは今年中に、さらに60店舗のコンビニを出店する計画だという。

また、食品会社のサイゴンフード(Saigonfood)も好調だ。2018年の売上高は1兆9000億ドン(約91億円)に達したが、今年はさらに50%の増収を見込んでいる。同社は現在、日本市場に向けて50の冷凍食品を供給している。売上のうち40%が国内向け、60%が海外向けだが、レ・ティ・タイン・ラム副社長は、「国内向けの割合は増える予想で、来年には50%に達するとみている。国内の消費者に高品質で安全な食品を届けたい」と意欲的だ。

さらに、ラム副社長は、「スーパーマーケットやコンビニでの販売に加えて、学校や病院に対しても、栄養価が高く安全な食品を提供したいと考えている。そのために、国の支援策とともに、教育・医療部門の協力先を探している」と続けた。

現在、ホーチミン市で収穫される農産物は、需要の20~30%しか満たしておらず、残りは周辺地域から調達している。同市の食品安全管理委員会は、食品の生産、食肉処理、加工、配送、流通の面で厳格な管理を行うために、周辺のビントゥアン省、ロンアン省、ラムドン省、ドンタップ省の農業当局と協力協定を締結した。

同委員会によると、農業のバリューチェーン認証は、230の単位(農場、製品加工施設、販売会社)に与えられており、年間総生産高は食品が16万5310トン、魚醤が788万リットルに上る。これらのうち青果物は6万5484トンで、53の認証を受けている(内訳は、野菜・根菜が5万2,851トン、果物が1万2573トン、茶が60トン)。これらの製品は、国内外の市場で、「safe food」のロゴマークが表示されている。