気候変動に対応した農業実践を 新種開発や農地の転換 インドなどと協力へ

近年のベトナムは、台風、洪水、干ばつ、地すべりなどが多数発生し、世界でもっとも気候変動の打撃を受けている国のひとつとなっている。農業部の影響も大きいため、人工知能やコンピューター技術などを応用した「スマート農業」の実施や食糧供給の確保手法の変革など、変化や改善が求められる。

ベトナムの農業はベトナムの経済成長に大きく貢献した。しかし一方で、気候変動と異常気象の大打撃も受けた。

2018年、ベトナムは13の台風や熱帯性低気圧の直撃を受け、212回の雷雨、30回の豪雨に見舞われ、14カ所で鉄砲水や地すべりが起こった。また、大寒波が4回、異常熱波が11回以上発生し、南部ではたびたび高潮の被害も受けるなど、各地でさまざまな自然災害が発生した。自然災害による死者は218人にのぼり、被害総額は20兆ドンに達した。

気候の変化はまた、ベトナムの主要作物の生産性も引き下げている。特に、米の生産高は1ヘクタールあたりの収穫は、このままでは2030年には0.41トン、2050年には0.72トン減少すると予測されている。とうもろこしの1ヘクタールあたりの収穫も、2030年には0.44トン、2050年には0.78トン減る見込みだ。

このほど、ハノイでは、気候変動と農業改革をテーマに、「気候変動に左右されないための食物育成システムの導入」と題した地域フォーラムが開催された。フォーラムに登壇した国際ジャガイくモセンター(CIP)アジア地域局長のサマレンドゥ・モハンティ氏は、「貧困撲滅や気候変動、食品と栄養確保などに関する持続可能な発展目標を2030年までに達成したいのならば、ベトナムは食物の生産、加工、消費の全てを変革する必要がある」と指摘した。

気候変動の対応としては、すでにアジアの7カ国の農業国が協定を結び、改革に着手しているという。ベトナムが主要農産物としている穀類などは、今後、気候変動にからみ、課題が持ちあがると予想されるため、今後、ベトナムと7カ国との協力に期待が寄せられている。

会議では、具体的な対策としてモハンティ氏が、ジャガイモの品種改良をベトナムに提案。10~12年もかかる穀類の品種改良と違い、「ジャガイモの品種改良は2年間で達成できる」として、ジャガイモの生産対象品種の登録数増加を提案した。

農業農村開発省のレー・クオック・ドアイン副大臣は、「近年、ベトナムの業分野は目覚ましい結果を手にした」と話し、ベトナム産の農産品が世界180カ国に輸出されていることや、輸出売上高が10億ドルを超えるベトナムの輸出品項目のうち、7つが農産物であったことなどを紹介した。

また、気候変動に左右されないための対策として、4万ヘクタールもの稲作地を中心とした農地を、魚介類の養殖や果樹の栽培へと切り替えたメコンデルタ地域の事例を紹介。策地面積の減少にもかかわらず、米の生産量は転作以前と同量程度を維持できているのは、生産性向上のための努力や稲の種苗の品質向上によるものだとした。

ドアイン副大臣はさらに、「国際機関や対応する国家省庁、科学者ら、農家などが協調し、努力すれば、気候変動のなかにあっても、農家の収入を高め、世界的な食料確保を確立できるということが証明された」と語った。

さらに、気候変動問題に対処するために各国が調整や協力をすべきだと指摘。持続可能な農業を実現するために、引き続き国際機関が重要な役割を果たしているとして、ベトナムのさまざまな機関や地域も協力して課題解決に取り組むと話した。

フォーラムには、同じく気候変動の影響が大きいインドのアシュウィニ・クマール農業副大臣も参加。すでにアジアの7カ国と協力し、気候変動に耐性をもつ新品種の農作物開発に取り組んでいるというインドの事例を挙げ、「ベトナムとその成功モデルを分かち合いたい」と提案した。クマール副大臣は「農家が、栽培に適した良質な品種の種苗を活用しやすくなるよう、努力を重ねたい」と話し、今後、気候の変動関連のデータや情報をベトナムと共有することを確認した。