ハノイの秋を象徴する花で、市内の街路樹にも多く使われている「ホア・スア(Hoa Sữa=ミルクフラワー)」の白い花が、今年は何カ月も前倒しで満開となっている。焼けつくよう暑い日々が続くハノイだが、季節はずれの花の香りは、住民らにつかの間の涼やかな休息を与えてくれている。

ハノイの夏を象徴する植物といえば、ハスやサルスベリ、カエンジュなどの色鮮やかな花々だ。それが、それが、なぜか今年は、秋の花であるはずのホア・スアが今ごろ満開となり、ハノイっ子たちを驚かせている。

ホア・スアは、キョウチクトウ科の植物。通常は9月から11月にかけて、その名の由来になっている白い花を、まり状に咲かせる。市民に愛されている花でもあり、ベトナムの国民的な音楽家、チン・コン・ソンの名曲「ハノイの秋の思い出」にも歌われているほか、「ハノイを訪れるならホア・スアのシーズンがいい」などとも言われる。

市内では街路樹にも多用されており、ハノイ中心部のデュイタン通りやチャンズイフン通り、クアンタイン通り、グエンズー通りなどに植樹されている。その花が、次々と満開になり、ハノイの住民らを驚かせるようになったのは、今月半ばごろからだ=写真㊦。

専門家らは、気候の変化が、季節はずれの花の狂い咲きを誘発したのではないかとみている。昨年の冬から今年春にかけては、気温が例年に比べて高温だったことが影響し、通常より早い時期の開花につながったというのだ。

ハノイを象徴するもうひとつの花といえば、真っ赤なホウオウボクがある。ハノイに夏を告げる花とされているホウオウボクが、今年は、秋を象徴する白いホア・スアの花と同時に咲き誇るというめずらしい現象が見られることとなった。