ベトナムの専門家ら、原発計画の再開提言=電力不安にらみ

 【ハノイ時事】ベトナムの原子力専門家や技術者らはこのほど、化石燃料の値上がりなどによる電力不安に備え、2016年11月に白紙撤回された原発建設計画の再開を同国政府に求める提言をまとめた。東京電力福島第1原発事故を背景に見送られた計画の復活を促す動きは異例で、注目される。

 エネルギー関連機関や企業で構成する団体の傘下メディアが伝えた。グエン・スアン・フック首相に計画を再開させるよう訴えているが、原発の稼働時期には言及していない。
 ベトナム政府は、経済成長に伴う電力需要の伸びをにらみ、日本とロシアの支援を受けて南部ニントゥアン省で原発4基の建設を計画。日本は菅直人首相(当時)による10年10月の訪越で受注が決まり、官民を挙げたインフラ輸出の象徴的な事業と期待された
 しかし、11年3月の福島第1原発の事故を機に安全対策の強化を余儀なくされ、事業費が想定の約2倍に膨張。原発計画は、財政規律の維持を理由に撤回された。建設予定地は、太陽光など再生可能エネルギー発電の拠点になる方向だ。
 提言は、燃料調達が難しくなる可能性を考慮すると、火力発電への過度の依存はリスクを伴うと指摘。原発は現在も多くの国で稼働しており、電力の安定供給と地球温暖化対策の両面で有効だと主張している。
 10年以上かけて地盤や気象を調査した建設予定地に関しては、これ以上の場所はないと評価。原発計画の再開をにらんで用地を確保するよう求めた。