ベトナムの中部沿岸地方沖で漁業を展開する漁師や漁船の保護や支援を展開するため、ベトナム人民海軍第3沿海区と、5省1直轄市の地方自治体などが、今月2日ダナン市で、相互協力協定に調印した=写真。

当面は2020年までが対象で、クアンビン、クアンチ、トゥアティエン=フエ、クアンナム、クアンガイの各省と、中央直轄市のダナン市が自治体として参加した。締結を記念し、5省とダナン市を拠点に漁を行なう漁船100隻に、ベトナムの国旗や救助ブイ、漁船に積載するための非常用医療キットなどが贈呈された。

協定は主に、海上活動に関する法的文書の情報の漁師たちへの開示▽海上境界線や安全で持続可能な漁業についての情報提供▽海難事故や悪天候などの際の漁師らの支援▽捜索と人命救助の実施―の4つの活動分野が対象とされた。漁業活動を法的に保護するとともに、経済発展のためにも、漁師らが沿海に積極的に出漁することを後押しする環境づくりを目指す。

一方で、この協定によって、ベトナムの海域と島々の国家主権を守る人民海軍の活動に、各省・直轄市の農業農村開発局、沿岸警備隊、地方行政を担う自治体なども参画。必要に応じて、海域の漁師らにも協力を促すという。

南シナ海中部は漁業資源が豊富で、漁業が盛んだが、ダナン市沖東約240キロメートルには、中国が主権を主張するホアンサ諸島(西沙、英名パラセル諸島)があり、今年春にも漁をしていたベトナムの漁船が中国の船に体当たりされて沈没するトラブルが発生していた。