増やせ地域の特産品 「一村一品運動」北部山岳地帯へも拡大へ 農家の収入増に期待

ベトナム全土で地域の特産品づくりを目指して展開されている「一村一品運動(OCOP)」で、このほど新たに、ベトナム北部山岳地域の14の省と市のうちの10カ所で、プロジェクト採択が承認された。約8168億ドンの費用を投じ、577の特産品や製品が登録されるという。

地方農業の再構築や農家の収入改善などを目的として始まった同運動は、国家プログラムに採択され、地域の特産品や製品を発掘して生産を増やし、流通ルートを開拓するために実施されている。今後、全国で新たに2490の産品の認定をする計画で、それらの総売り上げは8兆5200億ドン規模になると予測されている。

◇市場の開拓に期待
運動は、国内市場においてはこれまで各省が主導し、果物の物産展や特産品の販売会の主催、製品のブランド構築活動などが行われてきた。

例えばソンラ省は、特産品である果物の生産や販売を大きく伸ばした。生産協同組合の設立や科学技術の応用などによって、輸出用に特化した品質の特にすぐれたロンガン(龍眼)、スターアップル、マンゴーなどの生産が実現している。

ほかにも、ランソン、ハザン、ラオカイなどの省は、首都ハノイで定期的に農産物の販売会を開催している。特に品質のよいバクザン省ルックガン地区のライチは、国内だけでなく、8カ国で原産地証明を取得している先駆者的な存在で、今年だけで、すでに6兆ドンもの利益を地元にもたらしている。

農業農村開発省の報告によると、北部山岳地帯における一村一品運動も成果を見せ始め、地域の特産品が少しずつ開拓されているという。

◇全国拡大を加速へ
先日、2010~2020年の期間の一村一品運動を振り返り、来年以降の方向性を探る会議が行われた。出席したブオン・ディン・フエ副首相は、活動について、「目覚ましい発展をとげている」と称えた。

活動が始まって以来、開拓された特産品や製品はすでに数百種にも及ぶ。今では消費者にも知名度の高い地域特産品や、手ごろな価格で高品質な製品などを生み出している。だが、今後、運動をさらに活性化させるためには、「政府が主導し、製品基準や全国への拡大を加速するための一貫した政策をとることが必要だ」と、バクザン省の関係者は指摘した。

農業農村開発省のチャン・タイン・ナム副大臣は、「一村一品運動は、政府の進める『新農村地区開発プログラム』の大きな推進力となっている。また、農村住民らの収入の向上にも、大きく貢献してきた」と活動を高く評価。同省は今後さらに、農村地域特産品や地域に根差した観光の発展などの開発に注力するほか、製品の加工業への投資を奨励し、大手流通業のサプライチェーンに組み込んでもらえる生産を目指すとした。また、行政改革を促すことでも、運動を支援することを約束した。