国の景勝地、マーピーレン峠近くのがけに建築物 是非問われる ハザン省

切り立った険しい渓谷が世界的に有名な、マーピーレン峠(ハザン省メオヴァック)にこのほど、観光客向けの宿泊施設が建設され、その是非が国民的な議論となっている。一帯が、建築物建造の認められていない国家景勝地の内部なのではないかと指摘される一方で、所有者は建物が景勝地の外に建築され、観光客誘致につながる開発だと主張しているという。

ハザン省は、ベトナム東北部に位置し、中国・雲南省と国境を接する山岳地帯。少数民族が多く暮らし、独特の文化がはぐくまれてきた。また、石灰石がつくる切り立った地形が特徴的で、ユネスコのジオパークに認定された「ドンヴァン・カルスト台地」や「マーピーレン峠」など一帯が2009年に景勝地とされた。

10月初旬、ハザン省の文化遺産局は、文化スポーツ観光省が書類を検査したうえで、建造物がマーピーレン国家景勝地の文化遺産保護地域内には位置しないとの見解を示したと発表した。一方で、文化スポーツ観光省は、「書類を受け取っていない」などと主張していた。

その後、市民や専門家らから、建築物の法違性や反対意見が噴出したりしたことから、両者が「本物件は、ベトナムのあらゆる法律に従っていなければならない」として、再調査を行う意思を示した。

文化スポーツ観光省とハザン省人民委員会は今後、建築の経緯なども含め、詳細に調査をする予定。安全への配慮が十分である▽景観との調和を尊重している▽自然環境に悪影響を与えない▽地元在住の少数民族らの伝統や文化的アイデンティティに反しない―などの観点から調査し、解決策を探るとしている。