徐々に広がる日本式ビジネスの裾野=「経営塾ベトナム」が10周年―JICA

 【ハノイ時事】国際協力機構(JICA)などが2009年に開始したベトナムの中小企業経営者を育成する「経営塾ベトナム」の取り組みが10周年を迎えた。ベトナムの企業経営者らが日本式の経営哲学から生産現場の実践までを幅広く学び、経験する活動で、参加者は累計500人を超え、日本式経営を学んだベトナム人経営者の裾野が徐々に広がってきている。

 15日にハノイのホテルで開かれた記念式典では、経営塾で学んだ企業経営者らに対し、ベトナム経済の活性化や日系企業との連携などでの積極的な役割を果たすよう期待する声が多く聞かれた。ベトナム日本商工会議所の三浦伸文会頭は経営塾で学んだ経営者について、「(日系企業との)親和性が非常に高く、ともに発展していくパートナーになり得る」と評価した。
 在ベトナム日本大使館の岡部大介公使は、ベトナムが外国直接投資の恩恵を享受するためには外国企業の求める取引条件を満たす地場の部品メーカーなどが育つ必要があると指摘。「起業家精神にあふれた元気なベトナムの経営者にその役割を担ってほしい」などとし、経営塾を卒業した企業経営者への期待を語った。
 ベトナム投資計画省外国投資庁(FIA)のドー・ニャット・ホアン長官は、ベトナムが今後の成長を実現するためには企業経営者の質も重要になると言明。「経営塾は素晴らしい人材育成事業で、今後の新たな時代における外国投資に対応できる人材の育成にも貢献する」と述べ、経営塾などを通じた支援を継続する必要性を訴えた。
 経営塾では、企業経営などに実際に携わった日本の専門家らが顧客の利益を最優先に考える「顧客第一」や、従業員とともに会社の成長を目指す経営哲学などをベトナムの経営者に伝授。日本の工場などの現地視察も学習プログラムに盛り込み、日本式経営の理念と実践の双方を学ぶ仕組みとしている。
 経営塾を卒業したある企業経営者は「ビッグデータや人工知能(AI)の時代がきてもロボットがすべてのことを人に取って代わってできるわけではない」と強調。経営塾での経験を生かし、やりがいのある職場環境をつくって、元気なベトナムのための経営に取り組むと強調した。