2019年のベトナム経済を象徴する10項目 GDP急成長や豚コレラなど

世界の経済が複雑化する中、ベトナム経済は大きく変化した。2019年はベトナムの経済が多くを達成した一年となり、今後の持続可能な発展を支える安定した基礎を築いたといえる。テトの節目に、昨年中にベトナムが達成したさまざまな経済面での進歩や象徴的な事象などを紹介する。

1.党中央委員会が海外投資の促進などにかかわる政令公布
昨年、共産党中央委員会はベトナム経済に大きくかかわる政令を2つ発効した。ひとつは2019年8月20日に交付された政令50-NQ/TW。「2030年までに、外国投資(FDI)協力について制度・政策を完成させ、質と効率を高めるための方向性を示す中央委員会による決定」だ。

具体的には、ベトナム政府が重視するFDI誘致についての詳細を示したもので、新しいハイテク技術や自然環境に配慮した新技術に焦点を当てている。また、ベトナム産業の付加価値を高め、世界企業との生産協力やサプライチェーンへの参入なども目指す内容となっている。

一方、第4の産業革命に本格的に取り組むために、政令52-NQ/TWが9月27日、この分野のガイドラインや政府方針の提示として公布された。こちらは、2045年までにベトナムを新規起業やさまざまな改革などのアジアにおける集積地を目指すとしている。

2.急成長見せたベトナムGDP 
東南アジア地域内、さらには世界的にも競争が激化するなか、ベトナムは2019年、7.02%のGDP成長率を記録した。これは、当初国会が制定した6.6-6.8%の目標を上回る結果だった。

ベトナムがこのまま可能性を開拓し続け、さらに開かれた政策を採択していくならば、今後数年間は7%台の成長を維持できるだろうと予測されている。

3.貿易額5000億ドルの大台に乗る
政府や商工省をはじめとした関連各省の努力の結果、ベトナムの貿易額は2019年、初めて5000億ドルを超えた。各省や地元自治体などもマクロ経済の安定を維持するための努力を続け、ビジネス環境を改善し、今後の経済界の発展に向けた推進力を創造し、伝統の市場を効果的に活用すると同時に新たな市場開拓に取り組んだ。

4.2つの主要な自由貿易協定の締結

CPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)とEU-ベトナム自由貿易協定(EVFTA)の発効は、ベトナム経済の国際化において画期的な出来事だったといえる。ベトナムは市場の開放に積極的に取り組んでいることを国際社会に示し、ベトナムの東南アジアや太平洋地域においての重要性を、世界に強く印象付けた。

5.交通網などのインフラ整備進む
国会は昨年、ロンタイン国際空港の第一次開発の実現可能性レポートについて政府決議を承認した。 計画では、滑走路とターミナル、その他の施設を整備し、年間約2500万人の乗客・利用客を受け入れ、年間約120万トンの貨物に対応できるようになるという。この決議では、空港開発プロジェクトへの投資予算の上限を、336兆.6300万ドンとした。

9月16日には、グエン・スアン・フック首相が、カムロ―ラーソン間の高速道路の建築開始式典に参加した。この道路は、ベトナム中部のクアンチ省とトウァンティン=フエ省を横切るもので、南北高速道路の東部分をカバーする11のプロジェクト項目のなかで、初めて実現された。この高速道路は総延長654キロメートルに達する見込みで、現在は渋滞が度々発生する国道1号での車の集中と渋滞を緩和し、ベトナムの交通インフラを大きく改善し、経済や社会の発展機会を提供している。

6.アフリカ豚コレラのまん延
ベトナムでは昨年、アフリカ豚コレラを発症し、重総計約32万5000トンにも達する600万匹の豚が殺処分された。これはベトナム国内の豚の生産量の約8%に相当する数字だ。多くの自治体が1兆ドンを超える費用を投じて感染の拡大防止を図ったが、効果は薄く、全体的には好調に推移していたベトナムの昨年の農業分野の成長の足を引っ張る結果となった。

7. 農村部改革計画、前倒しで完了
ベトナムの農村部の改革を目指す国家計画がスタートして今年で10年目になるが、その節目を前に、計画は昨年度中に目標のほぼすべてが達成された。活動はベトナムの農家の社会的地位を高め、農村の生活水準を上させただけではく、農業生産そのものも再構築し、ベトナムの農業が近代的で持続可能な形式に近づくなど、さまざまな側面から農村部を大きく変革させた。グエン・スアン・フック首相は、地方自治体や関連組織などに、2021年から25年にかけての期間も、さらに活動を推し進めるよう求めた。

8.2019年世界競争力指数、前年より10位もランクアップ

10月9日に世界経済フォーラムが発行した2019年の世界競争力指数で、ベトナムは昨年度の77位から67位まで順位を上げた。これによって、ベトナムはもっとも大きな改革と改善を成し遂げた国とされた。同ランキングには141カ国が参加しているが、ベトナムがその上位半分に食い込んだのは初めて。

9.公共サービスのオンライン窓口開設
国による公共サービスの窓口となる初のポータルサイト(https://dichvucong.gov.vn) が、12月9日、開設された。企業だけでなく個人も利用対象となり、ログインすればさまざまな省庁や地方自治体の公共サービスを受けるための手続きができ、税金などの納入も電子支払いで行うことができる。同サイトはまた、市民や企業からの意見をフィードバックできるだけでなく、省庁や公的機関、地方自治体の公共サービス統合やオンライン支援についての意見を集約できる窓口としても重要視されている。

10.密輸や詐欺、模造品との闘い強化

密輸や詐欺、違法なコピー商品対策にかかわる全国運営委員会常任事務所は、11の省庁に指令文書を送信し、密輸を摘発し、「ベトナム製」と表示された偽造品の製造や商取引を阻止するよう求めた。さらに、商工省も、関連省庁と協力し、「ベトナム製」と表示してもよい製品の基準を策定するなど、省庁を横断して一貫した産地偽装や不当表示のあぶり出しに乗り出している。