外国人観光客に無料のマスク配布 新型肺炎で旅行業界への影響懸念 ホーチミン市など

ホーチミン市観光局傘下の観光促進センターなどが2月2日、ベトナムを訪問中の外国人観光客らに医療マスクの無料配布を始めた。流行が広がる新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大を受けて、広く感染予防を訴えると同時に、旅行客らに「安全で、配慮がなされている」と伝えることがねらい。10日までの期間中、ボランティアらが10万枚のマスクを配布する。

10万の医療マスクは、ホーチミン市内で外国人観光客が多く集まるノートルダム大聖堂やホーチミン市郵便局前、統一会堂、オペラハウス、戦争遺跡博物館で配られる。

ホーチミン市観光局の代表者によると、配布するマスクは4層式の医療用マスクで、医療基準を満たすものだという。衛生面に配慮し、ボランティアらが一つずつ小さな袋に入れて配っている。

ユネスコクラブのチン・グエン・フン・ズン副会長によると、今回の新型コロナウイルスは、2003年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)の被害を超えつつあり、ズン副会長は「世界とベトナムの観光業界に、このパンデミックが与えうる悪影響や損害が小さくないと想定できる」と断言した。

ボランティアの活動は昨日公表したばかりだが、早くも、旅行会社だけでなく地元の一般企業などからも、総額1億ドンの寄付があったという。ズン副会長は「今後も協力してくれる企業が増えれば、病気の流行が終結するまで、活動を継続したい」と話す。

マスクを受け取った米国からの観光客、オレグ・サフォノフさんは、「コロナウイルスの感染予防としてすばらしい活動だ。ベトナムの人々に深く感謝したい。」と話した。

別の観光客、ジェナさんは、「景色が美しく、食べ物もおいしいホーチミン市が大好きだ。コロナウイルスについては、あまり心配していない」と話した。
一方、首都ハノイでも、ユネスコクラブが同様の活動を始め、ボランティアらがマスクの準備に追われた=写真㊦。

2月3日と4日、有名な観光地であるタンロン城、クック・トゥ・ジアム(國子監)や文廟、ホアンキエム湖、民族博物館、オペラハウス、バーディン広場、ドンスアン市場で、無料のマスクを配った。ベトナムの経済は大きく観光に依存している部分があり、業界を冷え込ませないよう、同様の活動が全国に広がりを見せている。