ハノイ市が各地の農産物の販促展開 大手流通網での小売採用や展示会など通じ

首都ハノイは近年、他の市や省で作られる農産物の販売促進活動に力を入れている。同市が大消費地であるためだが、それだけでなく、商業や情報発信の中心地であることも理由のひとつだ。各地の農産物生産協同組合などが、農産物を首都圏の近代的な小売り網などに売り込みを強めており、それが結果的に販路拡大につながっているという。

ソンラ省商工局のグエン・ズイ・ルオン局長によると、同省は約3年間にわたり、ハノイ市との連携を進めてきた結果、同省で生産されるマンゴーやスモモ、ロウガン(龍眼)などの農産物を、ハノイの大手スーパーマーケットの販売網に乗せることができるようになったという。

ラオカイ省は、農産物の安全認証マークの取得に力をいれており、ハノイ市や同市郊外の市場に生産物を販売する生産者が52ある。また、60の農業生産企業や生産協同組合が、電子認証や生産トレーサビリティの認証を受けた254種の農産物を出荷している。同省農業農村開発局のグエン・スアン・ニャン副局長は、「ラオカイ省では『一村一品運動』が、多くの農産物を首都圏や他の地域に向けに販売する契機となっている。一方で、ハノイや周辺の小売流通企業から商品供給や新規事業の共同展開などで協力を求めてくるというケースもある」と話す。

ハノイ市への他の市・省からの農産物供給は、各地の経済成長に貢献し、農家の商談件数を増やした。その結果、生産者らは、設備の近代化や新技術の導入などの投資に前向きになり、生産する農産物の品質向上にも、積極的に取り組むようになったという。

ハノイ市が昨年提携したのは、ディエンビエン省、ライチャウ省、バクニン省、ハティン省、ゲアン省、クアンビン省、フンイエン省、ナムディン省、ダナン省とビンズオン省の各省だという。ハノイ市当局はこれらの省に対して、農産物のブランド化を支援し、大手小売店や首都圏のレストラン、ホテルなどへの商品納入を支援。ハノイ市投資貿易観光促進センターのグエン・ティー・マイ・アイン副所長は、「このプロジェクトによって紹介してきた商品が、ハノイ市で人気を集めるようになってきている」と話す。

ハノイ市は安心安全な農産部鬱生産を紹介するウェブサイトも作り、300種余りの安心安全な農産物や400カ所の販売店を紹介し、ベトナムの農作物全体の評価引き上げる効果をもたらしている。例えば、このウェブサイトで紹介されたことにより、バクザン省やクアンニン省、ソンラ省、ニントゥアン省の多くの農産物が首都圏の小売店での販売につながり、売上高は1兆ドンに達したという。また、全国規模で展開するビンマートやビッグC、ハノイ・サイゴンコープなどの小売り大手の流通販売網に製品が乗るようになった生産者の事例も200件数を超えた。

ベトナム商工会議所(VCCI)のブー・ティエン・ロック会頭は、「ハノイ市は単なる小売販売店の集中する大都市ではなく、卸売りの一大集積地で、ハノイを経由してさらに、紅河流域を中心に他の市・省へと商品が運ばれる。インターネットなどを使ったさまざまな電子商取引の拡大にも力を入れており、生産者らが自分たちの生産する農産物などをPRする絶好の機会となっている」と説明する。

農産物生産者の多くは依然として、小規模なものが多く、現代的な販売流通網に組み込むことが難しいという課題は残る。また、地方の自治体や生産者団体が市場ニーズを適切に評価できないことも問題で、首都圏で特定の商品が過剰供給となり、市場価格が暴落するといったことも見られるのが現状だ。

2018年から2019年にかけて、ハノイ市は他の市や省と協力し、生産者と販売流通企業などを結び付けるための会合やイベントなどを実施し、延べ19週にわたって、ハノイ市内で果物や野菜などの農産物展示会を開催してきた。ハノイ市投資貿易観光促進センターのグエン・ジア・フォン所長は「われわれは今後も、ハノイと農産物の生産地との需要供給の関係をさらに強化していきたい」と話す。