ベトナム、新型肺炎の感染拡大を抑制 政府と地方行政など連携が奏功

コロナウイルス(COVID-19)による新型肺炎の世界的な感染拡大のなか、ベトナムはこれまで、比較的効果的に感染症を抑制し、生産や企業活動、輸出入など、国の経済安定を維持することができた。新型ウイルスに対するベトナム政府の確固たる姿勢と、各省や地方行政当局との連携、経済的利益よりも人々の健康や生活を優先した企業や個人の協力などが大きかった。

中国でのCOVID-19 の感染が伝わって間もなく、政府とグエン・スアン・フック首相は各省庁や部局、自治体、企業や国民一人ひとりが取るべき措置のガイドラインを発表し、感染拡大予防に取り組み始めた。

2月1日にはフック首相が政令173/QD-TTg号を発令し、ベトナムでの新型肺炎の発生を宣言。翌2日、感染症拡大を防ぐ措置についての詳細を示したほか、3日には中国の31の省と地域からベトナムに入国するすべての人を14日間隔離することを決定するなど、大胆な措置を迅速に講じた。4日には、フック首相が医療機関や該当する機関に、医療品や資材などの準備を命じた。

2月6日に発令された政府支持43/TB-VPCP号では、政府委員会で話し合われた内容を盛り込み、「この難しい状況下において、ベトナム共産党の中央委員会とフック首相は、大胆な措置を含めたガイドラインを設定し、感染症の拡大防止のため最大限の措置をとる」と宣言した。これによって、関連するあらゆる部局や自治体などが、力を合わせ、感染拡大を阻止するために動き出した。例えば、商工省は原材料の輸入や確保で先頭に立ち、速やかに需要を満たせるよう、医療資材や医薬品などの安定供給や生産拡大を企業に指示した。

保健省は感染の可能性がある人の隔離、汚染の可能性のある場所の消毒、大模集会の開催を制限などの措置をとった。また、教育機関の衛生管理の徹底を推し進めた。学童たちの自宅待機措置も、他国に先駆けて採用された。

新型肺炎は、経済面にも大きな影響を及ぼすと予測されたことから、計画投資省は、感染症の拡大の影響を織り込んで補正した、新たな経済予測や成長計画などを各省に提示した。

商工省や農業農村開発省は、国境を有する省や市などの行政当局と連携し、国境が閉鎖された影響で、近隣に停滞してしまった農産物を国内で販売できるように迅速に手配し、農家や貿易関連企業の損失を最小限に抑えた。さらに、企業に国内販売の機会を増やすよう求め、農産物の生産地域と国内の小売販売網と結びつける機会を設けるなどした。物流会社などへは、農産物については倉庫保管料や配送料の引き下げなどを要請。海外の貿易企業などへ積極的にアプローチし、ベトナムの農産物の新たな市場開拓に尽力した。

市場の物価上昇についても目を光らせたおかげで、比較的市場は安定しており、密輸を押さえ込むこともできた。各省や市の警察当局が国境付近の警備を強化しており、出入国ゲートの人や物の行来の管理を徹底したことで、輸出入へも、生産や貿易にも、CODIV-19が与える悪影響は最小限に抑えられたといえる。