プラスチックごみから生分解性ごみ袋を開発-ベトナム 化学研究所

ベトナム科学技術院傘下の化学研究所は、プラスチックごみから、生分解性を持つ環境にやさしいごみ袋を開発した。生分解性とは、自然界の微生物の働きによって、最終的には水と二酸化炭素にまで分解される性質を指す。

■分解プロセスを評価
プロジェクト責任者のグエン・チューン・ズック博士は、「多くのプラスチック製品、とりわけナイロン袋は生分解性があるともいわれているが、実際には生物学的に破砕しているだけであり、分解を伴わないため生分解性プロセスとは全く異なる」と説明する。

研究チームは2年間の研究を経て、目的別に3タイプの生分解性ごみ袋を開発した。緑色のごみ袋は、12か月以内で分解し、使用後には有機肥料となる。24か月以内に分解する黄色のごみ袋は、リサイクルが可能。36か月以内に分解する黒色の袋は、医療廃棄物の保管に利用できる。

また、研究チームは、土壌中や活性汚泥中など、様々な環境下における袋の生分解性プロセスも評価した。土壌に埋設した場合、プラスチックごみから作った生分解性袋の重量は66.09~100%減少した。また、活性汚泥に埋設した場合、その重量は88.46~100%減少。有機肥料向けの袋では、126日後には80%、180日後では85%重量が落ちた。

ズック博士は、「これらの袋は、他のプラスチック袋のように細かく分解されるのではなく、水と二酸化炭素に変換されて土壌に浸透しやすくなり、植物に栄養分をもたらす。さらに、活性汚泥やコンポストを用いれば、微生物による袋の消化時間は7~8か月に短縮される」と言う。

■食品包材として
実用化に向けて研究チームは、ラック・チューン技術貿易サービス会社と協力し、プラスチックごみから生分解性ごみ袋を作る技術プロセスと生産ラインを構築。さらには、9493 TCVN規格に基づいて、これらの生分解性を評価した。この研究結果は、環境を汚染するプラスチックごみを有用な製品に転換する可能性を開いただけでなく、従来の製品に取って代わり、環境負荷の低い製品を生産する政策の実現にも貢献した。

ラック・チューン技術貿易サービス会社のグエン・ティ・リエン・フオン副社長によると、包装製品は「グリーンマップブランド」として、この技術に基づいて生産されており、生分解性だけでなく、(野菜などの)内容物が行う呼吸などを踏まえたガス制御機能も併せ持つ。新鮮な果物や野菜をより長く保存したいというニーズに合わせて設計されたものであり、従来の生分解性袋に比べて、保存期間を25~30%延ばすことができるという。