非接触型の問診システム開発 新型コロナ治療に活用へ 国立技術推進センター

ベトナム科学技術省傘下の国立技術推進センターはこのほど、患者と医療従事者が濃厚接触せずに症状などの情報を集めることができる「非接触型Covid-19スクリーニングシステム」=写真=を開発したと発表した。隔離された患者から、遠隔状態で問診できるもので、新型コロナウイルスをはじめとした感染症の治療で、医療従事者への感染リスクが大きく低減できるという。

非接触型スクリーニングシステムは、外国人観光客への対応や海外での使用も視野に入れ、6言語に対応。医療従事者が操作する本体と、患者用の機械に、それぞれモニターが用意されている。隔離された患者側の機械には、体温の自動測定装置が搭載され、データが記録されていく。患者は画面を利用して、身体症状や過去2週間の移動歴などの情報を入力する。

一方、医療従事者はこれらの情報を医療従事者用の機械で保存。患者側の端末は、病院のコンピューターまたはインターネット経由で制御できる。患者と医療従事者が容易に情報を共有できるほか、活用によって、医療従事者と患者の接触が最小限に抑えられ、感染リスクが低減される利点がある。

同センターで開発責任者をつとめるマイ・アイン・トゥアン准教授は、「新型コロナ対策のために開発したが、将来的にはその他の感染症の検査や治療などにも利用を拡大し、役立てることができる」と話す。

実用化の準備が整ったとして、このほど、ハノイ市のドンアイン地区にある国立熱帯病病院にシステムが引き渡された。同病院のブー・ティー・ミン・チュイェン看護師は、「感染が疑われる患者と、医師や看護師の接点を減らすことができるため安心だ」と感想を述べた。

患者のデータ管理や保存も容易になり、検査や治療を受けた患者の人数や内容などが一元管理できる。患者らの待ち時間も減らせるほか、病院側にとっては、人件費コストの圧縮にもつながると期待されている。

国立技術推進センターの科学者らはまた、病院内を自動制御で消毒できる清掃ロボットも開発。組み込まれたセンサーによってあらゆる障害物を避け、自走しながら清掃や消毒を行っていく。部屋の隅などにも入り込めるよう動きを工夫しており、さまざまな場面での活用によって、医療従事者の仕事が減らせるという。

このロボットも、同病院に実験的に導入された。今後、センターでは、病院からの情報のフィードバックを受け、必要な改善を施した後、製造会社らと提携し、システムや清掃ロボットの本格的な生産に乗り出す予定で、ベトナム全国の病院で活用を促していくという。