コメのATM、ベトナム各地に設置 新型コロナの失業者らに善意の主食配給

新型コロナウイルスの影響で失業したり、収入が激減したりした人々の支援策として、ベトナム各地に、いわゆる「コメのATM」が設置され、無料のコメの配布が行われている。企業や団体、個人などの寄付で設置されたもので、人々の生活を支える善意の試みとして注目を集めている。

これらのコメの配給は、銀行の自動預払機(ATM)になぞらえて、ベトナム語で「ATMガオ・ミエン・フィー(ATM gạo miễn phí =無料のコメATM)」と呼ばれている。
ハノイ市では、同市の大手書店「グエン・マイン・フン」がスポンサーとなったコメATMが、コウザイ区とトゥーリエム区に設置された。ここでは、20日にわたって毎日約4000人に、無料のコメが配られている。

ハノイ技術工科大学がシステムや機械を作成したものは、毎日7000人の市民にコメを配給している。また、国立経済大学には、職員らの寄付で設立されたコメATMが設置された。このほかにも、ハノイ市内だけでも十数カ所に、コメのATMが設置されているという。

ベトナムの「ラオドン(労働)新聞」も、米や食料品を、生活が困窮した人々に配っている。また、農業関係の機関紙「ノントン・ガイナイ(きょうの農村)」 も、配布用に710トンのコメを用意。これらの配給所にも、人々がソーシャルディスタンスをとりながら、マスクを着けた人々が長い列を作った。

ベトナム労働・傷病兵・社会省によると、今年1~4月の失業者数は67万人。このうち27万人が4月に解雇され、ほとんどが新型コロナウイルスの影響によるもの。また、4カ月間の休職者も同時期全国で500万人にのぼっており、経済活動の再開後も、日々の生活費に困窮する人々がいる現状だという。