科学研究機関の運営見直し 企業連携や資本の調達を効率化―科学技術省

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて、ベトナムでも、最先端の科学技術や医学分野の研究の重要性が指摘されている。しかし、国内の研究施設では、設備の老朽化や人材不足などの課題が浮き彫りとなっている。ベトナム政府はこのほど、科学技術省や関係機関に対し、研究機関あり方を徹底して見直すよう求めた。

商工省傘下の科学技術局の調査によると、ベトナムの多くの検査機関では、設備や機械類の老朽化が、現場の最大の悩みで、最新の環境でないために基礎研究しかできないという施設が判明。次世代型の最新機器や装置を使う研究活動はおのずと制限され、多くは研究したいテーマがあっても、実験などを外部委託しなければならず、非効率が指摘された。

研究機関が困難な局面に直面しているもうひとつの原因が、熟練研究者の減少だった。また、多くの研究部門が独立性採算性とされ、民間企業向けのコンサルティング業務や技術移転などを行う必要がでてきているなかで、企業が求める具体的な成果を上げる難しさも問題視されている。調査研究を共同で進めるため、公的資金を活用して研究者と企業を結びつける試みも、今のところ大きな成果をあげられていない。

技術革新を行うための資本金集めも苦労の種だという。研究機関は、独立採算制と自己責任のもとで経営を行っているのに、保有資産を担保とした借入契約が認められていないのだ。

これらのさまざまな課題を憂慮し、政府は54/2016/ND-CP号にもとづき、科学技術省に対して、関係機関や担当部局などと連携し、公的な科学技術研究機関のあり方を徹底して見直すよう求めたのだ。

具体的には、研究機関の土地や資産の割り当てと管理、保有する資本の活用、税金支払いの免除などの面で改革を行い、大胆な優遇措置を導入する。今後は科学技術省が、科学技術開発基金のもとで、各研究機関に対して、仕事や研究テーマ、必要な支援などを適切に割り振っていくという。

これを受けて、関係省庁や団体なども、複数の研究機関や、研究機関と大学・企業などとの間での効果的な連携方法を検討する。研究機関が企業としても登録ができるような条件整備を急ぐほか、研究機関が研究内容と財務の両面での独立性を維持しながら、効率的に資本を調達し、収益を生むメカニズムの構築を目指す。さらに商工省は、研究開発の充実を目指し、2020年じゅうに、最先端の設備や資材を整えた国際水準の専門研究施設6~9カ所の新設を計画している。