アフターコロナ、消費者の半数が「健康」を最重要課題に

米民間調査会社の全米産業審議会(コンファレンスボード)とニールセンが最近発表した、消費マインドをはかる消費者信頼感指数によると、ベトナムの消費者は2020年第1四半期に、衣料品、旅行、リフォーム・内装、外出・レジャー、テクノロジー製品、貯蓄への支出を減らした。新型コロナウイルスの流行が、ベトナム人の生活に多大な影響を与えるとともに、消費態度や行動、欲求を様変わりさせたと分析している。

ニールセン・ベトナムのマネージングディレクター、ルイーズ・ホーリー氏は、「社会的な交流の制限、強制的な隔離、店舗の閉鎖といった感染拡大を抑制する対策によって、娯楽施設やバー、レストラン、旅行先ではなく、家で過ごす人が増えたため、消費支出が大幅に落ち込んだ」と説明する。

消費者信頼感指数では、消費者の支出先として、医療保険が外出・レジャーを上回り5位に入ったと指摘した。ベトナムは、医療保険に加入した人の割合が38%と最も高く、2019年第4四半期より2%減少したものの、依然高い値を示した。

ベトナム人は元来、楽観的である。「パンデミックは怖くない」と答えたのはわずか5%だったが、半数近くの人が「新型コロナは2、3カ月で収束する」と回答した。ベトナムは、新型コロナの影響を受けながらも、消費者が最もポジティブな国として4位にランクした。

消費者信頼感指数では、消費者が新型コロナウイルスの感染拡大を「経済危機」ではなく、「健康危機」として捉えていることも示された。2020年第1四半期では、ベトナムの消費者の49%(19年第4四半期より4%増)が、引き続き健康を最重要課題と捉えていた。この数値は、世界的に最も高いレベルで、ベトナムの後はパキスタン(47%)、ラトビア(40%)、シンガポール(39%)が続いた。ベトナムでは、4四半期連続で健康が最大の関心事になっている。

今年第1四半期には、雇用の安定性を危惧する人が急増した一方で、ワーク・ライフ・バランスに悩む人は27%から22%に減少した。ホーリー氏は、「新型コロナが雇用に与える影響への懸念が高まっており、消費者の支出動向はこうした不確実性を反映している。一方で、企業が在宅勤務を導入したことは、時間の節約になったとして多くの従業員から歓迎された」と強調した。

そのほかの注目点は、ベトナムの消費者の関心事の6位に「親の福祉と幸せ」がランクインしたことで、回答者の10%がそう答えた。