飼育自動化やドローン散布 農業、酪農で進むIT化

ドローンによるニワトリの卵回収箱への殺虫剤散布から、オートメーションによる牛舎の管理まで。農業や酪農分野で、最先端のIT技術の導入が進んでいる。生産効率アップなど成果を上げており、ITの導入は今後ますます加速しそうだ。

写真㊤=THトゥルー・ミルクは、エサやりから搾乳まで、牛舎の管理をオートメーション化している

化学メーカーのロックチョイグループは、メコン・デルタ地帯のロンアンとドンタップ、ハウザンの3省1万㌶の水田で、ドローンによる農薬の散布テストを始めた。その結果、作業効率は15~30倍向上し、農薬の量は30%削減。これまでのように作業の際に足で作物を踏むこともないため作物の損失も1㌶当たり150~200㌔減った。畜産業のDTK フートも、ベトナムブランドの「クリーンな卵」の生産に向けて、8000億ドン(約37億円)を投資。日本や米国、イスラエルの技術を導入し、年間1億7500万個の卵生産を見込む。

酪農業のTHトゥルー・ミルクも、日常の世話から温度管理、搾乳までを自動化したオートメーションシステムを導入。システムは英語の韻をもじって「青い草(グリーン・グラス)から衛生的な牛乳(クリーン・ミルク)」という名前で呼ばれている。これらの例はごく一部で、国際的な競争力をアップしようと、さらに多くの企業が先端技術を導入している。

一方でIT導入にはさまざまな課題もある。ダバコグループの担当者は、「IT導入は今や、企業にとって避けられない選択だが、非常にコストがかかるため、公的な支援が不可欠だ。企業の負担を軽減するためにも、政府は、国内の企業とハイテク技術を結び付けるような政府開発援助 (ODA) や、海外からの投資を誘致する戦略的なプランを作る必要がある」と訴える。

こうしたなか、近年では科学技術プログラムや優先的貸付に向けた国家技術革新基金(NATIF)の創設や債務保証など、さまざまな支援策も打ち出されつつある。商工省は、高付加価値で競争力の高いベトナムブランド産品の創出に向けて、IT導入による効率化の周知を図っている。