ベトナム中部ダナン市タインケ区のチンジャン地区で、青年同盟が実施に踏み切った企画が、プラスチックごみ削減や環境保護意識の高まりにつながると、注目を集めている。ペットボトルなどを家庭ゴミと分別して持参すると、商品券に交換してもらえるという試みだ。さまざまな団体や市当局も活動に協力し、家庭ゴミの分別習慣の定着と、ゴミの組織的な分別回収の早期実現を目指している。

活動の発端となったチンジャン地区青年同盟は、集められたペットボトルなどのゴミを廃品回収業者などに販売する仕組みを確立させ、交換のためのスーパーマーケットの商品券を購入するための基金を設立した。また、タインケ区天然資源環境局と協力し、使用済み電池のリサイクル先などを見つけた。同青年同盟のレー・チン事務局長は、「プラスチックごみなどを生活必需品と交換できるので、より多くの参加が期待できる。少しずつでも、廃棄物の源となる家庭ゴミを分別する習慣が定着し、環境を汚すゴミを減らすことにつなげたい」と話す。

商品券への交換は、毎週土曜日の3~5時に行われている。ペットボトルなら50本、電池なら20本、古紙5キロごとに、商品券が1枚もらえる。商品券は、ペットボトルや古紙などの販売益と企業寄付で賄っている。商品券を近所のスーパーに持っていけば、1枚でニョックマム(魚醤)やしょうゆ、チリソースなどの調味料や、食器洗い洗剤、清涼飲料水などと交換することができる。2枚だと砂糖、コメ、ゼリー、食用油や卵などと交換できる。

スーパーなどにも協力を呼びかけ、商品の置いてある棚には、「プラスチックごみを商品と交換しよう」と書かれた大きなのぼりをかけた。ベトナムでは家庭ごみの分別がまだ一般的ではないため、分別や交換の仕組みも詳しく説明を掲示し、「親戚や友人、同僚らといっしょに、プラスチックごみを減らしましょう」と呼び掛けている。

彼らの活動の反響は大きかった。ダナン市タインケ区ドアンジャン地区の青年団も賛同し、活動に加わった。同地区では、たった2週間で、1500本のペットボトル、1300本の空き缶、200本の使用済み電池と200キロを超える古紙を回収したという。

また、ダナン市内のトゥイ・ティエン幼稚園のゴー・ダン・キム・ゴック事務局長は、幼稚園の教諭らがこの活動モデルに関心をもち、園として環境保護の課外活動として取り組もうとしていると話す。各家庭からペットボトルなどを持ち寄ってもらえば、園は環境を保護しながら、商品券で必要な物資を入手できる。「これらの活動は子どもたちの環境への関心を高めることができるだけでなく、親子で取り組むことで、親たちにゴミ分別の意識を植え付けることにも役立つ。結果的に、環境を汚すプラスチックごみ問題の解決となるのではないか」とゴック事務局長は期待する。

事業モデルはダナン市の多くの地域や団体の注目をあつめ、それぞれの地区の実情などに合うように柔軟に適用され始めている。タインケ区では、すべての地区で家庭ごみのリサイクル活用推進や、生物分解性プラスチックを素材に使った買い物袋の提供などの施策が採用されているという。

また、ダナン市の実施計画に基づいて、タインケ区内の10の地区がすべて、家庭ごみの分別事業を始めた。それらの適切な回収や輸送ネットワークも構築されつつあり、ダナン市では2020年には家庭から廃棄されるごみの12%をリサイクルまたはリユースする目標を掲げている。さらに、2025年には、その割合を15%にまで引き上げたい考えだ。ごみを正しく扱い、廃棄することは、環境保護の基盤となり、タインケ区を緑あふれる清潔で美しいまちへと変革することが期待されている。