ベトナムの「テト」に欠かせない名産ザボン その②

「ズィエン」という良い香りのザボンは、古くからベトナムの旧正月「テト」や大切なお祭りには欠かせない果物とされてきた。しかし、ズィエンザボンの効能を知っている人は意外に少ないのではないだろうか。

これまでの研究によれば、ズィエンザボンにはビタミンA、C、B1とB2が豊富に含まれている。中でもビタミンCの量は、梨の実の約4倍に上る。ほかの栄養成分もミカン、オレンジと同程度。お肌の美白効果もあるという。健康にも良いとされ、胃痛や糖尿病、風邪、ストレス解消などに効果が期待できるという。抵抗力を高める効果もある。栄養たっぷりのズィエンザボンは「体に良い果物」と評価されている。

研究院によると、ズィエンザボンは、木の樹齢が増すほど、より美味しくなるという。

多くの効能があり、経済効果も高いことから、今では他の地域でも盛んに栽培されるようになった。ハナム省やフンイェン省、バックザン省などでも栽培されており、ダン・フォン村(ハノイ)では、約300ヘクタールにわたってズィエンザボンの木が植えられている。

それでも、ドク・ズィエン村、フ・ズィエン村では、収穫されるザボンが特別に美味しいとされる。値段も他の地域のものより高価だ。「選別なし」に庭先で購入すると一個5万ドン、年月を重ね樹齢が増した木から採取された実なら一個7万から8万ドンくらいだ。フ・ズィエン村では一つの家庭で最低でもズィエンザボンの木が10本くらいあり、中には100本に上る農家もある。毎年テトの前は、各農家にとって最も売り上げが見込める時期だ。

最近、農家では科学的な手法が取り入れられ、作業効率の向上と品質の確保が図られている。大切な名産品であるズィエンザボンとともに、栽培農家の人々の暮らしも改善されていく。