リサイクル、リユース製品を積極活用、産業界のプラごみ削減アクション

毎年約200万トンのプラスチックごみを排出するベトナムでは今、これらの廃棄物による環境汚染が深刻化している。グエン・スアン・フック首相は2019年12月に、「2030年に向けた海のプラスチックごみ管理に関するナショナル・アクションプラン」を発表したが、産業界では、このプランを実行するための具体的な行動が始まっている。

写真㊤=ベトナムのスーパーマーケットでは、生分解性袋が広く使われている

年間200万トンを排出
大手菓子メーカーのモンデリーズ・キンド・ベトナムのヘマント・ルパニ社長は、「ベトナムが排出する年間約200万トンのプラスチックごみは、環境リスクを生み出し、人々の生活や健康を脅かしている」と指摘する。同社では、環境汚染を引き起こす原因と結果への理解を深めようと、全国の子供たちを対象に「プラスチックごみの回収とリサイクル」をテーマにしたグリーンフェスティバルを定期的に開催している。

ルパニ社長は、「当社は2025年までに、すべてのパッケージを再利用可能なものにすることを含めた、持続可能な開発目標を立ち上げた」と明かした。

また、ネスレ・ベトナムも、持続可能な開発と環境保護を目標にした生産・事業活動を展開する。同社は、2019年6月に、消費財や包装業界の大手企業とともに「PROベトナム(Packaging Recycling Organization Vietnam)」を立ち上げたが、ここでは回収プロセスや製品包装の改良、身近で持続可能なリサイクルの実現によって、サーキュラーエコノミー(循環経済)を促進することを目指している。ネスレ・ベトナムは2025年までに、リサイクルやリユースが可能なパッケージを100%使用することを表明している。

ネスレ・ベトナムとそのパートナーのサイゴンコープは、廃棄物ゼロの未来に向けて新たな消費者行動を起こそうと、全国のコープマートとコープエクストラの店舗で、缶やカートン箱を回収する「牛乳パックリサイクルのグリーンな旅(Green Journey of Recycling Milk Cartons)」と呼ばれる一連の活動をスタートさせた。

また、ネスレ・ベトナムは、ホーチミン共産青年同盟とも協力協定を結び、全国30か所に、牛乳パック由来のリサイクル材料を使用した大規模なグラウンドを建設し、子供たちの健康増進と環境保護への意識向上を支援している。

廃棄物管理を強化
生産や輸送、消費工程で発生する廃棄物の削減とともに、商工省は最近、生産・事業活動における環境保護に対する国の管理体制を強化している。

それによると同省は、企業や産業界、手工業団体に対し、廃棄物管理規制の遵守状況を調査するとともに、プラスチック廃棄物処理に関する地域と世界の協力機構における国のコミットメントに基づいて、環境汚染に対する管理を強化した。

産業安全技術環境局(MoIT)のチャン・アン・タン副局長は、「商工省は、再利用できる製品の生産と消費を奨励するほか、プラごみリサイクル技術の開発や、市場やスーパーマーケット、貿易センターで発生するプラごみの管理と削減、また分解可能なパッケージ開発を推進するための政策を策定し、実施してきた」と語る。

タン氏はさらに、「同省は、廃棄物の排出削減と、事業活動で発生した廃棄物のリサイクルやリユースに集中的に対処するため、関係機関や対策班に指示を出している」とも述べた。ベトナム国内では、すでに様々な種類の生分解性袋やレジ袋、食品包装の要求を満たす紙材料を用いた国産製品が生産され、供給されている。これらの製品には、紙製のストローやコップ、皿、トレイなどが含まれる。