世界に誇るベトナムの食 5つの世界記録を獲得

ユニークな世界記録を認定する機関として知られるワールド・レコード・ユニオン(WorldKings)はこのほど、ベトナムの「食」に関して、5つの世界記録を認定した。ベトナム料理の味付けに欠かせないニョックマム(魚醤)をはじめとした「魚介類を使った発酵調味料の豊富さ」など、食材の豊かさや料理の幅広さが決め手となったようだ。

ワールド・レコード・ユニオンでは、世界記録に認定された料理や食材の写真を、今後、同組織のSNSなどで、世界に向けて発信する予定。今回の世界記録認定で、世界的なベトナム料理の評価を高めることができ、これが新型コロナウイルスの世界的感染からの復興後、世界の観光客をベトナムへ誘致するきっかけになると期待されている。

最初の記録は、スープと麺を組み合わせて作る料理の種類がもっとも多いことだ。ベトナムにはフォーをはじめ、ラーメンや春雨、さらにこれらを創造的に調理したな麺料理164種類があるとされ、その数は今もさらに増えているという。タイや中国など、隣接する食の大国をおさえての世界1は、ベトナム人の誇りにつながっている。

2番目は、ベトナムがニョックマム(魚醤)など、魚介類を原材料とする発酵調味料がもっとも多い国だという記録だ。その数は100種類以上にのぼる。

これらを使った料理は、独特の風味があり、ベトナムの食卓では毎日の食事の味付けに重要な地位を占めている。よく使われるのは、ニョックマムに加え、エビペーストやカニの発酵調味料などだ。

3番目の記録は、食用の花を使った料理の多さだ。花の料理のバリエーションは272種類もある。サラダや炒めもの、鍋やスープなどに使われるが、なかでも、ハスの花のご飯やベトナムでティエンリー(Thien Ly)と呼ばれる花と牛肉の炒めもの、バナナの花のサラダなどがその代表例だ。

4つ目の記録は、さまざまな食材を巻いた“ロール状の料理”がもっとも多い国であること。その数103種類。日本でもなじみの深いゴイクン(生春巻き)のように、具材を巻くだけの料理のほか、揚げ春巻きのように、具材を巻いてから加熱するなど調理方法も多彩だ。ロール状の料理の利点は、野菜を多く摂取しやすいことだ。これらの料理は、魚醤に甘酸っぱい味付けを加えたり、辛味を加えたりしたつけだれに浸して食べることが多い。

5番目は、米粉から作った料理が、もっとも多い国だということだ。特にベトナム中部の古都、フエ市は、バイン(Banh)と呼ばれる、米粉が材料のもち状の生地を素材とした料理の種類が多いことで有名だ。

例えば、バインを乗せた小皿をいくつも並べ、さまざまな味付けで楽しむ「バインベオ(Banh Beo)」や、エビなどをバインで包んで蒸す「バインナムBanh Nam」、生地を油で揚げた「バイン・ラム・イット(Banh Ram It)などがある。これらの料理はいずれも小ぶりで上品な盛り付けも特徴で、バナナの葉などの上にあしらわれることもある。