フードロス削減へ、責任ある食品の生産、消費を=GDP2%相当が廃棄

本来は食べられる食品だが、規格外であったり、売れ残りなどのために廃棄されてしまうフードロス(食品ロス)問題。食料不安や栄養不足を解決するために、このフードロスを食い止めることが今、求められている。

◇深刻な食品ごみ
国連世界食糧計画(WFP)によると、世界で生産された食品のうち30%が、食べられることなく廃棄されている。こうした食品の廃棄は、世界で毎年約9400億ドル(約98兆円)の経済損失をもたらし、食料不安や栄養不足を深刻化させている。さらに、2020年には新型コロナウイルスの影響で、深刻な飢餓に直面している人々の数が、これまでの2倍の2億6500万人に上る可能性がある。

サプライチェーン分野のコンサル会社であるCELコンサルティング社によると、ベトナムでは2018年に、大規模農業地域で生産された食品の約25%が、加工工場や流通センターに届く前に廃棄されたという。損失量は約880万トン、金額にして39億ドル(約4000億円)に上ると推計された。この額は国のGDPの2%、農業部門GDPの12%に相当する。最も損失が大きいのは野菜や果物で、生産量の約32%(約730万トン)が廃棄された。そのほか、食肉は生産量の最大14%(約69万4000トン)が、水産品も生産量の約12%(約80万4000トン)が捨てられている。

◇海外とも連携
ベトナム政府は、SDGsのゴール12「つくる責任 つかう責任」を達成するために、2025年までの期間で「ベトナムの飢餓をゼロにする国の行動計画」を実施。その重点目標の1つとして、「食品の無駄・ロスをなくすこと」を掲げている。

デンマークとは、駐ベトナムデンマーク大使館と農業農村開発省が協力して、食品のロスと無駄を減らすキャンペーンを開始した。今年9月26日から10月2日に行われたキャンペーンでは、ハノイのホアンキエム湖の周辺で写真展を開催し、食品ロスに対する地域社会の意識を高め、より責任のある食品消費を行うために、人々の行動や習慣を変えるよう呼びかけた。

加えて、9月29日から10月2日の期間では、ハノイとホーチミンでセミナーが行われ、食品業界の代表者や責任者とともに、米、養殖、食肉、牛乳、果物などの業界におけるデンマークやベトナムの専門家や起業家らが参加し、知識や経験、技術を共有するなど情報交換を行った。

デンマーク大使館のキム・ヒュイルント・クリステンセン大使は、「農業農村開発省と大使館が開催したこのイベントは、持続可能な発展に向けて、責任ある食品の生産・消費の重要性の認識を高めることに貢献するでしょう」と述べた。