どうなる?来年のテト賞与 新型コロナの影響懸念も

今年の新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は、ベトナムでも労働者らの給与削減などの影響をもたらした。ベトナム人にとって、もっとも重要な祝祭日であるテト(旧正月)は、まだ2カ月も先だが、製造分野などで働く労働者らはすでに恒例のテト賞与への影響を心配している。

ベトナム紅河デルタに位置するビンフック省のカイクアン工業団地で操業するベトナム・プレシジョン・インダストリアル社の従業員、キエウ・バン・ヒエンさんは、「去年は、受注が好調で、従業員は残業したり、日曜出勤をしたりしなければならないほどだったのに…」と、過去数年間の好景気を振り返る。今年は、新型コロナの影響で、勤務先がさまざまな困難に直面する事態となり、ヒエンさんの収入も減少したという。

製造業の受注はどの分野も減少傾向にあり、労働者らは「仕事があるだけでありがたい」という心境だという。慣例のテトのボーナスも、楽しみではあるものの、高い期待はもっていないようだ。

新型コロナの感染拡大が響き、ベトナムの失業率は上昇を続けている。状況は厳しいが、来年2月10~16日の旧正月を前に、企業はなんとか労働者の給与を維持しようと、必死の努力を続けている。

ビンフック省内でも新型コロナの感染が発生し、製靴業務のビンイェン・シューズ社(ビンフック省)では、今年の受注が前年と比べ半減した。同社のレ・タイン・チュイ社長は、「その時には、従業員の労働時間を削減したり一時的に解雇したりせざるを得ず、従業員の約3分の1が影響を受けた」と苦悩を語る。幸いなことに、同社はその後の数カ月で受注が回復しつつある。まだ課題は多く残るが、「従業員全員にテトの賞与を支払う予定だ」とチュイ社長は話す。

2カ月後の旧正月を前に、労働者の法的権利や利益を確保しようと、ベトナム労働総同盟(VGCL)は、全国の労働組合に対し要請を行った。同盟は、組合が会社側と協力して給与やボーナス、福利厚生などを策定し、テト前に計画を公表させたうえで、その運用を監督することで、一年でもっとも重要な祝祭に向けて、従業員の安心を図るよう求めた。同時に、帰省する職員らの支援、贈り物の贈呈などの活動も計画することを求めた。

ベトナムの労働傷病兵社会省(MOLISA)によると、2020年の旧正月平均賞与は、約1カ月分の給料に相当する約671万ドンだった。これは2019年と比べ7.1%の上昇だった。