地元特産「一村一品」の商品PR 大手流通の店舗で展開、テト期間中

ベトナム各地の特産品を育成する「一村一品運動(OCOP)」を盛り上げるため、今年の旧正月の前後にかけて、大手流通小売店などがOCOP製品の購買促進活動を展開している。

ベトナム人にとってもっとも重要な祝祭日であるテト(旧正月)は、今年は2月12日の金曜日にあたる。同月10~16日まで、7日間がテト休暇となる。例年のこの時期は、家族や親族が集まってごちそうを食べる習慣があることから、まとめ買いの需要などを見込み、この時期の実施となった。

カマウ省の食品製造会社フックティン社では、幸運にも、このキャンペーンを前に、自社で製造するエビせんべい3種類が、「一村一品運動」の認証を得ることができたという。同社のレ・キエウ・フオン社長は、「認証を受けられたおかげで、テトの時期に、大手の小売流通店が取り扱ってくれることになった。生産を受注に間に合わせるために、一生懸命製造にあたっている」と話す。

ドンナイ省では、一村一品商品を製造する地元メーカー7社が、タイ資本小売り大手でスーパーの「ビッグC」を展開する、セントラル・リテール・ベトナム社と契約を結んだ。7社のメーカーが製造する地元の特産品21種類が、一村一品キャンペーンの商品として取り扱われることが決定。同省内の2店舗のビッグCで、茶葉やドライフルーツ、野菜などが販売され、地元の人々が特産品に寄せる期待も高まっているという。

セントラル・リテール・ベトナム社のグエン・ティ・ビック・バン広報担当は、「これら2社のスーパーの店頭では、一村一品運動の商品が買い物客らの目を引くよう、デザインに工夫をこらした専用のディスプレイ棚を設けた。このような小売りの現場で、一村一品活動を支援したいと考えている」と話す。

大手スーパーチェーンのMMメガマーケットも、テト期間中、一村一品運動の商品を取り扱う予定だ。テト用のお菓子やジャムなどを中心に、56種類の商品を取り扱うだけでなく、より多くの人に商品を手にしてもらうためのきっかけづくりとして、価格も引き下げ、最大で50%引きの目玉商品も用意した。

サイゴン・コープのマーケティング・ディレクター、ドー・クオック・ヒュイ氏も、「一村一品製品を通じて、農村や生産地の支援はしたい」と商品の取り扱いに前向きだ。ただ、一村一品商品は、各地の生産者らによって小規模で作られている商品がほとんどであるため、「全国的に紹介したいと思う名品もあるのだが、そうするには生産量が少なく、商品の数量が限られてしまうのが残念だ」と話す。

今年で2年目を迎えた一村一品活動は、地方の農村で、特産の農産物や、それを原材料とした加工食品の製造、地元文化を継承する手工芸品などを開拓しようという動きを活性化した。これらのなかには、収入の安定と農村に仕事をもたらすという効果があった商品も少なくない。今回のテト機関中のキャンペーンが契機となり、大手流通チェーンなどが、一村一品運動の商品を継続的に販売するきっかけになると期待されている。