近づくテト フック首相、内閣会議で各省に対応指示 労働者らには贈り物も

ベトナムで最も重要な祝祭日である旧正月(テト=今年は2月12日)を前に、グエン・スアン・フック首相は定例の内閣会議で、各省庁や地方自治体などにテトの準備を指示した。今年は新型コロナウイルスの感染抑制策をとりながらも、「すべての国民が温かいテトを迎えられるよう」、対応を要請。ホーチミン市などでは、コロナの影響で賃金カットなどの影響を受けた労働者らに、贈り物や帰省の旅券などが贈られた。

内閣会議で、フック首相は「経済成長を促進するために、政府は、コロナ対策を展開すると同時に、企業が直面するさまざまな障壁を取り除くことに全力を挙げてきた」と報告した。努力の甲斐あって、ベトナムのマクロ経済は比較的安定しており、税収や株式市場では経済回復や発展の兆しが見えたという。また、市場の信頼性も高まっており、社会福祉の充実も進展した。

そのような状況をふまえ、フック首相は、計画投資省に対して、先月行われた第13回共産党大会で提案された数々の政令を実現するために、行動計画の策定を急ぐよう要請した。

新型コロナの感染対策に関しては、テトの期間中も、社会的パニックを引き起こさずに、新型コロナを封じ込める対策と努力を続ける必要性を強調。保健省と「新型コロナウイルスの感染予防制御に関する国家運営委員会」は連携し、各自治体などに素早く対応の指示が出せるよう、計画策定が求められた。

新型コロナ対策と並行して、今年上半期、重要視されるのが、経済発展の加速だ。

計画投資省に対しては、フック首相は、経済計画の実現や課題解決につながるアイデアを集める一方で、これまでの実施策の定期的な見直しも指示した。計画投資省と財務省は、企業の経営課題を取り除き、ビジネスを支援するために適切に財源を割り当てると応じた。

課題として挙がった民間企業の活性化については、複数の自由貿易協定締結によって生まれたビジネスチャンスを、企業が最大限に活用できるよう支援を展開するとともに、市場発展と消費促進を実現するための包括的な施策実施を進めるとした。

このほか、会議では、グエン・タイン・ロン保健相が、最近、ベトナムで新型コロナの感染拡大が加速している状況を報告し、「より強い措置の実施が必要だ」と主張。すべての国民に、感染予防策としてマスクの着用を義務づけた。

また、チャン・トゥアン・アイン商工相は、農業農村開発省と連携し、テト休暇中の市場安定を維持するため、市場の管理や監視を強めていることや、農産物の適切な供給量が確保できていることなどを報告した。

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一方、ホーチミン市などでは、「すべての国民に温かいテトを届ける」というフック首相の言葉を受け、新型コロナの影響などで難しい状況に直面している民間企業の労働者やコロナ対応にあたる公務員など、計約42万人にテトの贈りものが配られた=写真。

ホーチミン市労働連盟のファム・チー・タム副議長は、このほど、総額約2000億ドン(約868万ドル)分の贈りものが、市民らに贈られたことを報告した。

これらの贈り物は、病人や貧しい労働者、職場で負傷した人のほか、今年は、新型コロナの影響で解雇された人々にも手渡されたという。また、公務員では、過酷な環境で働く医療従事者や新型コロナ対応の職員、建設や環境衛生の仕事に就くエッセンシャルワーカーのほか、へき地に赴任する軍関係者らを対象に配られた。

ホーチミン市労働連盟は、社会保障や企業税を遅滞なく納付した地元企業や、新型コロナ禍にあって従業員の賃金カットや解雇などをせずに維持した企業に対しても、テトの祝い品やプレゼントを配布したという。

各地の労働連盟は、労働者向けのテト対策として、衣類や食料品などのテトの必需品のほか、医薬品や化粧品、電化製品などを10~50%引きで提供する展示販売会を開催した。また、ふるさとへの帰省の旅費がないという労働者のためには、約4万3000枚の鉄道乗車券や飛行機の航空券なども配られた。