教育現場のオンライン授業、学校ごとに柔軟に対応 ホーチミン市

ホーチミン市の学校では今月1日、2月のテト(旧正月)休暇以降継続されていた新型コロナウイルスの感染抑制策としての学校閉鎖措置が、ようやく解かれた。学校閉鎖と外出自粛により、自宅で過ごすことを余儀なくされた生徒たちのために、同市は小学校などにさまざまなオンライン学習ツールや教材の採用を認め、柔軟なオンライン教育で対応してきた。

ホーチミン市タンビン地区にあるドンダー小学校で1年生を担当するグエン・レ・タイン・チュイエン教諭は、ビデオ撮影した教材のほか、PDFやWordなどのソフトを駆使し、パソコンで自作したプリント類を活用して、授業を展開してきたという。

「うちの学校では、撮影した授業のビデオは、学校のウェブサイトにアップロードしておきます。それを保護者が、自宅で好きな時にダウンロードできるという仕組みです」と彼女は説明する。

効率的に自宅学習を進められるよう、教員らが作成した宿題は、SNS(ソーシャルネットワーク)を通じて、生徒の保護者に届けるという工夫も採用された。

「子どもたちのために、仕事の合間などに授業をダウンロードする時間を見つけてくれたりして、ほとんどの保護者が協力的でした」とチュイエン教諭は振り返る。

このようなオフライン授業と、学校側と保護者とのSNS上のやり取りを組み合わせた授業手法は、一見、面倒なように見えて、実は多くの保護者に支持されたという。新型コロナの初期に展開されていたような、何十人もの生徒向けに、一方的にオンライン授業を流すだけのやりかたは、特に小学校低学年の児童にとっては、集中できないものだったという反省から生まれた手法だったからだ。

ホーチミン市6区のある小学校では、教員らがその週に学習する内容のオンライン授業を、毎週月曜日にまとめてアップロードしておくという方式を採用した。一方で、生徒たちの学習時間に細かい時間は指定せず、その週の終わりまでにすべての学習内容を終わらせ、宿題を提出すればいいことにした。

「このやり方だと、昼間に時間を限定せず、保護者は平日の夜や週末など、都合の良い時間を利用し、子どもたちの学習を手助けすることができる」とこの小学校の校長は、メリットを語る。

一方で毎日、平日の日中、決まった時間にオンライン授業を配信していた小学校もあった。規則正しい生活は期待できるが、この場合、「平日の昼間は仕事なので、子どもたちのそばにいて授業配信を見る手助けもできない」と働く保護者たちから不満が寄せられることもあったという。

3区にあるルオン・ディン・クア小学校のツー・クオック・チュアン校長は、「小学校1~3年の低学年には、オンライン授業の生配信は算数、ベトナム語(国語)と外国語の重要科目だけに絞った」と工夫を語る。生徒たちの負担軽減のためだという。

「大人の手助けなしに、リアルタイムで配信される授業に幼い児童が集中し続けるのは、たいへん難しいことですから」とチュアン校長は言う。「ライブ配信ではなく、都合のいい時間にダウンロードでき、時間に関係なく学習利用できるビデオ授業であれば、保護者も子どもたちの学習支援をしやすい」。

ホーチミン市教育訓練局では、一律にオンライン授業の展開方針を定めなかったことについて、「オンライン学習はライブ配信や都合のいい時間でのビデオ視聴など、さまざまなツールをうまく活用し、多様な内容を盛り込まなければならない。さらに、生徒が便利な時間に、使いやすいかたちで活用できるものである必要がある」と話している。