ベトナムの特産品の一つであるハチミツとカシューナッツからつくったお酒がこのほど完成した=写真。商工省などが進めるバイオテクノロジーや食品加工産業振興に向けた試験事業の一つ。輸出価格の低迷が続くハチミツなどの需要喚起となるか、期待が集まっている。

試作品は、ビンフック・ハニー合資会社や食品産業学会などのコラボによって完成した。研究チームのチュオン・フオン・ラン博士は「ベトナムは世界のハチミツ輸出国のトップ10の一角を占め、アジアでは2位の輸出国でもある」と開発の背景を説明する。ベトナム養蜂協会によると、国内では150万のミツバチ群が飼育され、毎年5万㌧以上のハチミツが生産されている。

しかし近年、ハチミツの輸出価格は下落、加工にも限界があるため国内消費量を含めて低迷。こうしたなか、新たな需要を掘り起こそうと企画されたのがハチミツ酒だ。ハチミツ酒は、人類最古のお酒とも言われているが、近年は他の酒に押されて、一般的に飲まれることは少なくなった。ラン博士は「今こそ、ハチミツ酒の人気復活に資本の投入が求められている」と意気込む。

プロジェクトは、ハチミツが発酵する技術的プロセスを完成させることで、地域資源を生かした新たな産業と雇用を創出することが目的。ハチミツとカシューナッツの発酵に適した酵母の選別など、アルコールを29%含む製品の製造技術を確立するため、試行錯誤を繰り返してきた。

試作はビンフック・ハニー合資会社で行われ、チームのスタッフは、食品の安全基準を満たした5万6950㍑のカシューナッツ・ハチミツ酒と5万7509㍑のハチミツワインを完成させた。新商品が、地域の産業振興につながるか、業界の期待が高まっている。