飲料業界「健康」に注目 コロナ禍で消費者に変化

(VEN)  新型コロナウイルスの影響による生活様式の変化にともない、食料品や飲料品に対する消費者の好みが変化しているという。より健康的で、ちょっとした冒険気分を楽しませてくれるものが新たなトレンドとなりそうだ。こうしたなか、ベトナムの飲料業界も、新商品を模索している。

農業農村開発省によると、今年1-2月のお茶の輸出額は2900万㌦(約31億円)で、前年同期比11.1%増を記録した。しかし、今後の動向は予断を許さない。出口の見えない新型コロナウイルスに加えて、輸出大国のインドやケニアが豊作となっていることなどが理由だ。

コージーティー(Cozy tea)で知られるお茶メーカー、テヘモイのドン・アン・チュアン・ディレクターは、「人件費の高騰で、コストをカバーできない状態が続いている。(付加価値の高い)加工品の開発に注力せざるを得ない」と打ち明ける。こうしたなか、同社が力を入れている商品の一つが抹茶だ。抹茶製造のための機械を輸入し、生産した抹茶を菓子や飲料メーカーに販売した。これが功を奏し、輸出量は減ったが、輸出額は大きく改善した。「今後は、化粧品や医薬品メーカーにも売り込むため、お茶の成分を抽出する機械の購入を検討している」と意気込む。

農業農村開発省農産品加工市場開発局のグエン・コック・トゥアン局長は、「飲料メーカーは、果物のほかグルテンフリーやオーガニックな商品など、健康関連商品に注目している」と話す。

コロナ禍によって健康志向が高まっているのはベトナムだけでなく、世界的な傾向のようだ。健康米国の食品フレーバー大手、フレーバーケムは、今後のトレンドとして、新型コロナウイルスで気が滅入っている消費者の気分を高揚させたり、「嗅覚の冒険」を体験させてくれたりするものが人気を呼ぶと予想している。また、世界五大穀物メジャーの一つ、ADMのリサーチによると、77%の消費者がより健康になりたいと望んでいる。ストレスフルな日々の中、消費者は癒しを求めようと、食品や飲料に対する出費には寛大になり、とりわけ栄養バランスのよいものを探し求めているという。